YouTube・TikTokライブ・ツイキャス・17LIVEなど、視聴者が配信者へ「投げ銭(スパチャ・ギフティング)」を送る文化が一般化してきました。

しかし、その収入に税金がかかるのか、確定申告が必要となる金額の基準はどこにあるのか、正しく理解できていない人も少なくないでしょう。

そこで、本記事では、投げ銭が税務上どのように扱われるのか、所得区分や申告基準、経費として認められる支出まで解説します。クリエイターが最低限知っておくべきポイントなので、ぜひご一読ください。

投げ銭(スパチャ・ギフティング)には税金がかかるの?

YouTubeのスーパーチャットやライブ配信アプリでのギフティングなど、視聴者からの投げ銭には、原則として税金がかかります。

投げ銭は「応援」「支援」という名目であっても、税務上は配信者が行う役務提供の対価(サービス提供の報酬)と位置づけられるため、単なる個人的な贈与とは扱われません。

たとえば、配信でコメントを読んだり、特定のファンサービスを行ったりする行為は、広い意味で「サービス提供」に該当するため、受け取った金額は事業所得または雑所得として課税対象になります。

加えて、匿名の送金や海外からの支払いであっても、日本に住む個人であれば、原則として日本の所得税の対象となる点に注意が必要です。こうした理由から、投げ銭を受け取るクリエイターは、収入を正しく把握し、税務処理を適切に行う必要があります。

投げ銭で得た収入は確定申告が必要?基準となる金額

投げ銭で得た収入は所得税の対象になりますが、確定申告が必要なのはいくらからなのかを確認しておきましょう。基準となる金額は、副業なのか本業なのかによって異なります。

【副業】所得20万円超

会社で年末調整を受けている人が、副業として配信活動を行っている場合、投げ銭による所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。

ここで判断すべきなのは「収入」ではなく「所得」であり、投げ銭収入から機材費や通信費などの経費を差し引いた金額が20万円を超えるかで決まります。

たとえば投げ銭収入が30万円あっても、経費が15万円かかっていれば所得は15万円となり、申告義務は発生しません。逆に、収入が少額でも必要経費がほとんどない場合は所得が増え、20万円を超えるケースがあります。

なお、住民税には20万円ルールが適用されません。所得が少額でも、住民税の申告が必要になる可能性があるため、詳しくは市区町村役場にて確認しておきましょう。

【専業】所得95万円超

専業で配信活動を行っているクリエイターは、投げ銭による所得が合計所得⾦額132万円以下の場合の基礎控除である、95万円を超えた段階で確定申告が必要です。

ここでの95万円は「収入」ではなく「所得」です。投げ銭収入から経費を差し引いて95万円を超える場合には、確定申告をしてください。

投げ銭収入から差し引ける経費の一例を紹介

投げ銭は課税対象になるものの、配信活動を行ううえでかかった費用は「必要経費」として差し引くことができます。ここではその一例をご紹介します。

1.配信活動に直接必要な物品例

配信を行うために直接必要となる機材やソフトは、その用途が明確であるため経費として計上しやすい項目です。

例として、PC・マイク・オーディオインターフェース・ウェブカメラ・一眼カメラ・照明機材・キャプチャーボード・ゲームソフトなど、多岐にわたります。

VTuber活動を行う場合は、Live2Dモデルや3Dアバターの制作費、モーションキャプチャー機器なども経費として認められます。ただし、モデルの制作を外注した場合は支払先との費用記録が必要です。

また、ソフトウェアの年間利用料や編集アプリのサブスク費も、事業上の必要性が認められやすいです。投げ銭収入との因果関係を明確に説明できるようにしておきましょう。

正しい所得計算をするためにも、かかった経費は適切に記録しておくことが重要です。

2.家事按分により計上できる項目例

自宅で配信・編集をしているクリエイターは、プライベートと共通する支出についても、「家事按分」を使えば経費として一部を計上できます。

代表的な項目としては、家賃・共益費・電気代・水道代・ガス代・インターネット料金・スマホ通信費などが挙げられます。たとえば、自宅のうち作業スペース(配信ブース)が全体の20%を占める場合、家賃の20%を経費にするなど、業務で使用している割合に応じて按分してください。

また、配信用照明やエアコンの稼働時間など、明確に業務との結びつきが説明できる費用は、按分割合を高めに設定することも可能です。

家事按分を正しく行うには「合理的な根拠」が不可欠で、配信時間・部屋の面積・使用頻度などの記録があると税務調査でも説明しやすくなります。

投げ銭収入の確定申告で気をつけるべき3つのポイント

投げ銭収入は額が一定以上になると確定申告が必要ですが、申告時には特に注意すべき3つのポイントがあります。

1.売上は手数料が引かれる前の総額で計上する

YouTube・SHOWROOM・17LIVEなど、多くのプラットフォームでは、視聴者が投げた金額から一定の手数料を差し引いたうえで配信者に入金する仕組みになっています。

しかし、税務上の「売上」は手取り額ではなく、視聴者が投げた総額です。

たとえば視聴者が1万円をスパチャし、手数料が3,000円差し引かれ、配信者に入金されたのは7,000円というケースで考えます。この場合、売上は7,000円ではなく10,000円として計上し、差し引かれた3,000円は「支払手数料」などの経費として処理が必要です。

誤ると売上を少なく申告したとして、税務調査で修正申告を求められるリスクがあります。特に複数プラットフォームを併用している場合は、毎月の収益レポートを取得し、総額ベースで記録する習慣をつけることが重要です。

2.プラットフォームの手数料は経費にする

プラットフォームが差し引く手数料は、税務上「支払手数料」などの科目で経費に計上できます。

これは配信者側が直接支払っているのと同じ扱いになるため、適切に経費処理をすることで課税所得を減らすことにつながります。

なお、手数料率はYouTubeのスーパーチャットやSHOWROOMなど、プラットフォームによって大きく異なり、30~50%程度が差し引かれるケースも珍しくありません。手数料を経費に計上し忘れると、本来よりも大きな所得を申告してしまい、税金を多く払うことにつながります。

収入レポートは月ごとの明細が提供されるため、発生した月ごとに売上と手数料をセットで記録しておくと、確定申告時のミスを防げます。複数アプリを併用している場合は、Excelや会計ソフトで集計テンプレートを作り、管理体制を整えておきましょう。

3.申告を怠るとペナルティを課される可能性がある

確定申告が必要なのに申告をしなかった場合、税務署から「無申告加算税」や「延滞税」といったペナルティが課されることがあります。

無申告加算税は、期限内に申告しなかった場合に本来の税額に加算されるもので、状況によって5~30%程度が加算されます。また、延滞税は納付期限を過ぎてしまった期間に応じて加算される税金で、延滞期間が長いほど負担が大きくなります。

特に投げ銭のように収入の出入りが細かく、複数プラットフォームにまたがる場合は、申告を忘れたり金額を誤ったりするリスクが高くなります。

万が一、過去の申告漏れに気づいた場合には、早めに「期限後申告」や「修正申告」を行い、ペナルティを軽減できるように対策しましょう。

まとめ

投げ銭(スパチャ・ギフティング)は「応援」や「プレゼント」のように見える一方で、税務上は配信という役務提供の対価として扱われるため、原則として課税対象になります。

確定申告が必要となるかは、投げ銭で得た収入そのものではなく、「収入-経費」で計算される所得額によって判断してください。副業なら20万円超、専業なら基礎控除95万円超が目安となります。

「投げ銭は少額だから大丈夫」「副業だからバレない」という誤解は、後から思わぬペナルティにつながりかねません。投げ銭収入を安心して受け取り、健全なクリエイター活動を続けるためにも、今日からできる範囲で記録と管理を始めていきましょう。

もし申告の方法に迷ったり、経費の判断が難しかったりする場合は、早めに税理士へ相談することをおすすめします。

田中貴久公認会計士事務所は、クリエイターやコンテンツに関する税務・会計に強みを持っています。経費計上でお困りの際には、お気軽にご相談下さい。

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