税務署から追加徴税(追徴課税)の通知が届くと、強い不安を感じますよね。「計算ミスをしていたかもしれない」「どれくらい払うことになるのか」など、大きな不安を抱えることになるかもしれません。

追加徴税は、意図的に税金をごまかした場合だけでなく、単なる申告漏れや計算違いでも発生し得るため、誰にでも起こり得ます。

そこで本記事では、追加徴税の仕組みや各加算税の内容、通知が来たときの具体的な対処法をわかりやすく解説します。

そもそも追加徴税(追徴課税)とは?

追加徴税(追徴課税)とは、確定申告の内容に誤りがある場合や、申告自体をしていなかった場合に、本来納めるべき税額に加えて課される「ペナルティ的な税金」のことです。

たとえば、売上の計上漏れや経費の過大計上など、意図的でない単純なミスでも追加徴税が生じる可能性があります。また、期限までに納付しなかった場合は延滞税が加算され、状況によっては加算税の税率も変動します。

故意の不正が疑われる場合は、より重い税率が適用されるなど、過失の程度に応じて負担が大きくなる仕組みです。追加徴税は税務署からの通知によって初めて気づくケースも多いため、制度の内容を事前に理解しておくことが重要です。

追加徴税の主な種類とペナルティの内容

追加徴税にはいくつかの種類があり、それぞれ課税される場面や税率が異なります。

1.過少申告加算税(少なく申告していた)

過少申告加算税は、確定申告をしていたものの、売上の計上漏れや経費の過大計上などにより「本来より少ない税額で申告していた」場合に課されるものです。

単なる記帳漏れやミスであっても、結果的に税額が少なかったと判断されれば対象になります。税務署からの税務調査の事前通知の前に自主的に修正申告をした場合、過少申告加算税はかかりません。

しかし、税務調査の事前通知の後に修正申告をした場合、新たに納める税金のほかに、新たに納める税金に5%の割合を乗じた額を過少申告加算税として納付することになります(新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額を超えている場合には、超えている部分について10%)。

また、税務調査を受けた後に修正申告した場合や、税務署から申告納税額の更正を受けた場合には、新たに納める税金にプラス10%の割合を乗じた額を、過少申告加算税として収める必要があります(新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額を超えている場合には、その超えている部分については15%)。

2.無申告加算税(期限内に申告していない)

無申告加算税は、確定申告を期限内に提出しなかった場合に課される追加徴税です。申告を忘れていたり、必要だと思っていなかったりして申告が遅れた場合でも納付しなければなりません。

税務署からの税務調査の事前通知の前に自主的に期限後申告をした場合には、納付すべき税金のほかに、納付すべき税金に5%の割合を乗じた金額を無申告加算税として納めます。

税務署からの税務調査の事前通知の後に期限後申告をした場合には、納付すべき税金のほかに、納付すべき税金に10%の割合を乗じた金額を無申告加算税として納付しなければなりません(納付すべき税金が50万円を超えている場合、その超えている部分については15%)。

税務署の税務調査を受けた後に期限後申告をした場合や、税務署から申告納税額の決定を受けた場合には、納付すべき税金のほかに、納付すべき税金に15%の割合を乗じた金額を無申告加算税として納めます(ただし、納付すべき税金が50万円を超えている場合、その超えている部分については20%)。

3.不納付加算税(源泉所得税を納めていない)

不納付加算税は、外注費や報酬を支払う際に必要となる源泉徴収を行っていなかったり、源泉所得税を期限内に納付しなかったりした場合に課されるものです。

たとえば、デザイナー・ライター・カメラマンへの外注報酬には源泉徴収義務があるケースがありますが、この点を誤解しているフリーランスは少なくありません。

源泉徴収を失念したまま支払いを行うと、税務署から「納めるべき源泉所得税が未払い」と判断され、不納付加算税が発生します。税率は原則10%ですが、自主的に納付すれば5%に軽減される規定などがあります。外注取引が多い事業者は、源泉徴収の取り扱いについて今一度確認しておいてください。

4.重加算税(悪質な隠蔽・仮装がある)

重加算税は、売上の隠蔽、架空経費の計上、二重帳簿の作成など、意図的な不正行為が疑われる場合に課される最も重いペナルティです。単なる記帳ミスではなく、隠蔽・仮装と判断された場合に適用されます。

税率は非常に重く、過少申告加算税に代えて課される場合には35%、無申告加算税に代えて課される場合には40%、不納付加算税に代えて課される場合には35%です。

また、過去5年以内に重加算税を繰り返した場合には、さらに10%が付加されます。

5.延滞税(納付が遅れた)

延滞税は、納付期限を過ぎて税金を支払わなかった場合に発生する「利息に相当する税金」です。延滞税は日々増えていくため、放置すればするほど負担が大きくなります。

税率は原則として、納期限から2か月以内は年2.4%程度ですが、2か月を超えると年8.7%程度まで跳ね上がる仕組みです(2025年現在※年度によって変動あり)。

延滞税の特徴は「自動的に加算され続ける」点であり、早期に納付しなければ雪だるま式に増加します。追加徴税の通知が届いた際に、加算税と延滞税の両方が同時に課されるケースも多く、資金繰りに直結する大きな負担となり得ます。

追加徴税の通知が来たとき・ミスに気づいたときの対処法

追加徴税の通知や税務署からの連絡があった・ミスに気づいたときの対応方法について解説します。

税務調査の連絡が来たら「無視せず」対応する

税務署から調査日程の案内や問い合わせが届いた場合、絶対に無視せず、まずは指摘内容を正確に把握することが最優先です。

調査の案内には「どの税目について」「どの期間を」確認したいのかが記載されています。無視したり返答を遅らせたりすると、故意の隠蔽が疑われ、重加算税が適用されるかもしれません。

しかし。早期に連絡を取り、必要な資料を整理し、事実関係を明確にしておくことで、調査がスムーズに進み、ペナルティを軽減できる可能性があります。

なお、内容が複雑な場合は税理士に同席を依頼しておくと安心です。

ミスに気づいたら一日でも早く「修正申告」をする

自分自身の記帳ミスや申告内容の誤りに気づいた場合は、税務署からの指摘を待たずに「修正申告」を行うことが重要です。

修正申告を税務署からの連絡より先に行えば、加算税が軽減される制度があり最も負担を減らせる対応といえます。

修正申告の流れは以下のとおりです。

(1)資料の整理
(2)申告書の再作成
(3)追加納税

特に、早期対応によって延滞税の増加も防げるため、気づいた時点ですぐに行動することが最善策です。内容が複雑・判断が難しい場合は、税理士へ相談することで誤りの再発防止にもつながります。

追加徴税を防ぐためにできること

追加徴税は、意図しないミスや理解不足から誰にでも発生し得ます。そこで、追加徴税のリスクを下げるためにはどのような対策をすれば良いかを確認しておきましょう。

領収書や請求書を整理し証拠を正しく保存する

経費として計上するにあたって、領収書・請求書・銀行明細などの「証拠書類」を正しく保存しましょう。

税務調査にあたって、証拠書類がなければ経費として認められず追徴課税の対象となる可能性が高まります。保存期間は青色申告をしているならば原則7年間です(所得税法施行規則第63条)。

紙の領収書だけでなく、オンラインで購入したデジタル領収書やサブスクの請求履歴なども保存対象です。日常的に整理しておくことで、申告時のミスも減らせるほか、税務署から問い合わせがあった際にもスムーズに対応できます。

書類は月別・カテゴリ別に仕分けし、クラウドストレージでのバックアップを併用するとより安全です。

判断に迷う場合は税理士に相談する

判断に迷う場合には税理士に相談するのがおすすめです。

「家事按分の割合」「どこまでが交際費か」「源泉徴収が必要な外注費か」など、フリーランスの会計処理には判断が分かれやすい部分が多くあります。自己判断で処理を進めてしまうと、税務調査で指摘され追加徴税の対象となるリスクが高まります。

そのため、判断が難しい項目は税理士に確認することが効果的です。

顧問契約を結ぶほどでなくても、スポットでの相談で、期中に一度帳簿を確認してもらうだけでも、誤りの早期発見・再発防止につながります。適切なタイミングで専門家に相談することは、結果として余計な税負担を避ける最も確実な方法です。

まとめ

追加徴税は、申告漏れや計算ミスなど、誰にでも起こりうるリスクです。

しかし、通知を受けた際に迅速に適切な対応を取ることで、ペナルティを最小限に抑えることができます。税務署からの連絡を放置すると重加算税が適用される可能性もあるため、まずは内容を正しく把握し、必要な資料整理や修正申告を進めることが重要です。

クリエイターは収益構造が複雑化していたり、経費となるものにも特徴があったりします。田中貴久公認会計士事務所はクリエイターの会計・税務に精通しているので、心配なことがある場合にはお気軽にご相談ください。

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