Amazonのほしい物リストを通じてファンから届く「差し入れ」やギフトは、単なる好意として受け取られがちですが、税務上は一定のルールに基づいて扱われます。特に配信者、イラストレーター、YouTuber、SNSインフルエンサーなど、継続的に活動するクリエイターにとっては、受け取った物品やギフト券が「所得」なのか「贈与」なのかによって課税関係や申告義務が変わります。申告の要否を誤ると、後から税務署から指摘を受ける可能性もあるため、制度に沿った判断と記録管理が必要です。

そこで本記事では、ほしい物リストで受け取ったギフトの税区分、確定申告が必要になる基準、時価の考え方、実務上の管理方法などについて解説します。

そのギフトは贈与税か所得税か?ケースごとに解説

Amazonのほしい物リストを通じてファンから届いたギフトは贈与税の対象になるのでしょうか、それとも所得税の対象となるのでしょうか。次のケースを例に確認しましょう。

ケースA【贈与税】個人から純粋な「応援」として貰った

個人のファンや視聴者から、見返りを前提とせず「応援」「差し入れ」として送られたギフトは、原則、贈与と扱われ贈与税の対象となります。

そして、贈与税には年間110万円の基礎控除があり、同一年中に受け取った贈与額の合計がこの金額を超えた場合に申告が必要です。

ここで注意すべき点は、「送ってきた人単位」ではなく「受贈者(自分)単位で合算する」という点です。複数のファンから少額ずつ受け取っていても、年間合計額が110万円を超えれば申告対象になります。

また、金銭だけでなく物品も「時価」で評価されるため、受け取った時点の販売価格等を基に金額を把握しておく必要があります。対価性がなく、あくまで好意による提供であることが前提となるため、リクエストへの対応や宣伝などの条件が付されていないことが必要です。

ケースB【所得税・事業所得】対価性がある場合

ほしい物リスト経由のギフトであっても、「リクエストに応えて制作したイラストのお礼」「紹介・レビュー・宣伝を前提とした提供」など、実質的に対価性が認められる場合、差し入れは贈与ではなく所得として扱われます。

活動が継続的で収益化を前提とする場合には事業所得、単発的な収入であれば雑所得に区分されるのが一般的です。この場合、受け取った物品の時価が収入金額となり、必要経費との関係で所得額を計算します。贈与税の基礎控除110万円の枠は適用されず、所得税の課税体系に基づいて確定申告の要否を判断することになります。

特にクリエイター活動の一環としてギフトを受け取っている場合、税務上は「報酬に近い性質」と評価される可能性があるため、贈与として処理してしまわないよう、提供の背景や条件を記録しておくことが実務上重要です。

ケースC【一時所得または事業所得】法人(企業)から届いた

企業や法人から提供されたギフトは、個人間の贈与とは扱いが異なり、原則として贈与税の対象にはなりません。

企業からの提供は、広告宣伝やPR、取引関係の一環として行われることが多く、税務上は所得として処理されるのが基本です。単発で受け取ったもので対価性が明確でない場合は一時所得に該当する可能性があり、継続的な活動の対価として提供されている場合は事業所得または雑所得として扱われます。

いずれにしても「法人からの提供=贈与税」とはならない点が重要です。受け取った経緯や目的、継続性を踏まえて所得区分を判断し、収入金額には受け取った時点の時価を用います。企業案件と近い性質である場合、税務署からも事業収入として把握されやすいため、帳簿や取引記録を残しておくことが実務上不可欠です。

確定申告が必要になる「金額の境界線」

ほしい物リストでギフトを得た場合でも必ず贈与税・所得税の対象となるとは限りません。確定申告が必要となる金額の境界線はどこにあるのか、贈与税・所得税についてそれぞれ確認しましょう。

贈与税として扱う場合 年間合計110万円を超えたら申告

個人から純粋な応援として受け取ったギフトが贈与税の対象となる場合、年間の贈与額の合計が110万円(基礎控除)を超えると申告が必要になります。

ここでいう「年間」は1月1日から12月31日までの暦年で計算し、同一年中に受け取ったすべての贈与を合算します。提供者ごとではなく、受け取った本人単位で合計額を算定する点に注意が必要です。物品についても金銭と同様に課税対象となり、受け取った時点の販売価格などの時価で評価します。基礎控除以下であれば申告義務は生じませんが、将来の確認に備えて受領記録を残しておくことが実務上望ましい対応です。

所得(事業・雑)として扱う場合

ほしい物リストのギフトが対価性を伴う場合には所得税の対象となり、確定申告の要否は所得額によって判断します。副業として活動している会社員などの場合、給与所得以外の所得が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要になります。

本業としてクリエイター活動を行っている場合は、所得金額が基礎控除額を超えた時点で申告義務が生じます。基礎控除額は合計所得金額に応じて58万円〜95万円と幅がありますが、所得が132万円以下である場合には基礎控除は95万円であり、この金額を超えると確定申告が必要です。

住民税の注意点

給与所得者などで副業収入がある場合、「所得が20万円以下なら確定申告は不要」という扱いになることがありますが、この基準は所得税に関するものです。住民税については別の制度で運用されており、所得が生じた場合は原則として申告が必要になります。

つまり、ほしい物リストによるギフトが所得扱いとなり、年間所得が20万円以下で所得税の確定申告を行わない場合でも、住民税の申告は自治体に対して行う必要があります。住民税は前年の所得を基に計算されるため、申告漏れがあると後日通知や問い合わせにつながる可能性があります。所得税の申告要否だけで判断せず、住民税の扱いまで含めて整理しておきましょう。

時価はどう計算する?

ほしい物リストで受け取ったギフトは、金銭ではなく物品であることが多いです。そのため、収入や贈与額をどのように評価するかが実務上のポイントになります。

届いた商品の金額をどう知るか

物品の評価は、Amazon上で表示されている販売価格を基準とするのが実務上わかりやすい方法です。

商品ページの価格は日々変動するため、受け取った時点の価格をスクリーンショットやメモで保存しておくと、後日の確認する際に役立ちます。中古品や価格が不明確な商品については、同種同等の商品の販売価格を参考にするなど、合理的な方法で時価を見積もることになります。受領日・商品名・価格を一覧で管理しておくことで、贈与税の判定や所得計算がスムーズになります。

Amazonギフト券の場合

Amazonギフト券を受け取った場合は、額面金額そのものが収入または贈与額として扱われます。

実際に使用したかどうかは関係なく、「受け取った時点」で課税関係が生じる点が重要です。未使用のまま保有していても、税務上は収入または贈与が発生したものとして扱われるため、受領日と金額を記録しておく必要があります。特に所得として扱う場合には、収入計上のタイミングは「使用時」ではなく「受領時」である点に注意が必要です。

仕訳・勘定科目はどうする?

事業として活動しているクリエイターがギフトを受け取った場合、対価性があると判断されれば帳簿上は収入として処理します。

例えば事業所得として扱う場合は、受け取った物品の時価を「受贈益」などの収益科目として計上し、事業で使用する場合には備品費等として処理する方法が一般的です。

一方、純粋な贈与として扱う場合は事業収入ではないため帳簿には記載せず、別途スプレッドシートなどで贈与の記録を残しておくと管理しやすくなります。税区分によって帳簿処理の方法が変わるため、受け取った背景と目的を整理したうえで処理を選択しましょう。

会社にバレたくない副業クリエイターへの対策

副業としてクリエイター活動を行っている場合、ほしい物リスト経由のギフトが所得扱いになると、会社に知られてしまうのではないかと不安に感じる人も少なくありません。

会社に副業が把握される典型的なケースは、住民税の決定通知書です。

通常、給与所得に対する住民税は会社が給与から天引き(特別徴収)して納付しますが、副業所得が合算されると住民税額が増加し、会社に届く通知から副収入の存在が推測されることがあります。この対策として、確定申告書の「住民税に関する事項」で「自分で納付(普通徴収)」を選択する方法があります。

これにより、副業分の住民税を自分で納付する形になり、給与分とは分離して扱われます。ただし、自治体の運用によっては必ずしも完全に分離されない場合もあるため、制度の範囲内での対応である点を理解しておく必要があります。

ほしい物リスト特有のリスク

ほしい物リストの公開に伴うリスクは税務だけではありません。設定内容によっては、本名や住所などの個人情報が第三者に推測される可能性があります。

特に配送先設定や公開情報の範囲を誤ると、意図せず個人情報が漏洩するリスクがあります。副業として活動している場合、税務面だけでなくプライバシー管理の観点からも設定を見直しておくことが重要です。

まとめ

Amazonのほしい物リストで受け取るギフトは、すべてが同じ税金で処理されるわけではなく、「純粋な贈与」「対価性のある報酬」「法人からの提供」など、受け取った背景によって税区分が変わります。

贈与税の対象であれば年間110万円の基礎控除の範囲を確認しましょう。所得として扱う場合は副業なら20万円基準、本業の場合は所得に応じた控除額で確定申告の要否を判断します。また、所得税の申告が不要でも住民税の申告が必要になるケースがある点にも注意が必要です。

物品は受け取った時点の時価で評価し、金額・受領日・提供者などを記録しておくことが、後の申告や税務対応の負担軽減につながります。

ほしい物リストはクリエイター活動を支える仕組みの一つですが、税務上の扱いを誤ると想定外の申告義務や指摘につながる可能性があります。活動の規模が大きくなってきた場合や、贈与と所得の判断に迷う場合には、制度や実務に精通した専門家へ早めに相談することも有効です。

クリエイター・個人事業主の会計・税務に強みがある、田中貴久公認会計士事務所に是非ご相談ください。

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