
メタバース空間での土地を持っている方は、「メタバース上でも土地だから固定資産税がかかる?」「仮想通貨と同じ扱い?」など、税金の疑問があるでしょう。メタバース空間での土地は売買できます。
前提として、メタバースの土地は不動産ではなく、NFTの処理を基に考えます。
この記事では、税務上の扱いや処理の仕方、メタバースの土地に関する税務で失敗しないための方策について解説します。
メタバースの土地と現実の土地の違い
メタバースの土地と現実の土地は税法上の扱いが異なり、課される税金も変わります。メタバースと現実の土地における税法上の定義や、課される税金について解説します。
税法上の定義
メタバースの土地はあくまでNFTとして記録されるデジタルデータであり、現実に保有する土地とは扱いが異なります。
一方で、現実の土地は不動産扱いになります。
現実の土地を所有する際は不動産の登記をする必要がありますが、メタバースの土地を所有する場合に登記は必要ありません。
メタバースの土地の場合
メタバースで所有する土地はNFTに該当し、メタバースの土地取引で得た所得には所得税が発生します。
メタバースの土地は注目されてからまだ日が浅い分野であり、税法上の整備はまだ十分に進んでない状況です。
ただし、国内に居住する個人が所得を得た場合は、所得税の課税対象となるため、メタバースの土地を売買した場合でも当然に所得税の課税対象となります。
メタバースの土地に関する取り扱いは、NFTに対する税制を基に考えるとよいでしょう。
NFTに関する所得税には「譲渡所得」「雑所得」「事業所得」のいずれかが適用されます。
国税庁より、「デジタルアートを紐づけたNFTを購入し、第三者に転売した場合」の取り扱いが公表されているため、これを基に所得税法上の扱いを当てはめます。
NFTの土地の譲渡が、棚卸資産もしくは準棚卸資産の譲渡または営利を目的として継続的に行われる譲渡に該当する場合には雑所得または事業所得に該当します。
雑所得と事業所得どちらに該当するかは、規模の大きさや営利性によって判断されます。
NFTの譲渡による年間収入が300万円以下で、本業の収入に比べて割合が低い場合、原則として雑所得と判断されます。
ただし、帳簿類を記帳・保存していれば事業所得として認められる可能性があります。
一方で、NFTの売買が営利目的ではない場合、譲渡所得に該当します。
それぞれの所得区分における税法上の取り扱い
メタバースの土地の譲渡が事業所得に該当し、青色申告をする場合、最大65万円の特別控除(令和9年分以降は最大75万円)を受けられます。
特別控除とは、所得額から差し引ける金額であり、それだけ税金額が下がります。
一方で、雑所得に該当する場合は特別控除を受けられません。
メタバースの土地の譲渡が譲渡所得に該当する場合について、譲渡所得は分離課税と総合課税の2種類に分かれるものの、メタバースの土地の場合は総合課税の対象となります。
総合課税の対象となる場合、給与所得や事業所得など、他の所得と合算して所得税を算定します。
総合課税の譲渡所得では、最大50万円までの特別控除が受けられます。
現実の土地の場合
現実の土地の場合、取得時に登録免許税、不動産取得税が発生します。
また、土地を所有していると固定資産税、譲渡時に譲渡所得税がかかります。
現実の土地の譲渡で発生する譲渡所得税は「分離課税」といい、他の所得とは分けて計算します。
譲渡する年の1月1日時点で、その土地の所有期間が5年を超える場合は所得税率15%、住民税率5%です。
一方、土地の所有期間が5年以内の場合は所得税率30%、住民税率9%がかかります。
メタバースの土地を購入・売却した時の税金
メタバースの土地を購入や売却した際に、どのような税金が発生するかをそれぞれ解説します。
購入時にかかる税金
メタバースの土地の購入自体には税金が発生しません。
ただし、メタバースの土地を仮想通貨で購入した場合、仮想通貨の決済として税金が生じる可能性があります。
たとえば、メタバースの土地を1ETHで購入したとします。ETHを取得した際の時価は15万円で、メタバースの土地を購入した際の時価は20万円だとすると、差額の5万円に対して所得税が発生します。
保有時にかかる税金
メタバースの土地を保有しているだけでは税金は生じません。
仮に保有中にメタバースの土地が値上がりしたとしても、税金が発生するのはメタバースの土地を売却したタイミングのみです。
そのため、メタバースの土地の保有中は、税金を気にする必要はありません。
売却(転売)時にかかる税金
メタバースの土地を売却する際は所得税が発生します。
所得税は土地売却で得た所得に対し税率を乗じることで計算します。
所得の計算は下記になります。
「譲渡価格-取得価格-譲渡費用=所得」
譲渡費用とは、売るために直接かかった費用であり、販売手数料などが該当します。
メタバースの土地の売却が譲渡所得に該当する場合、計算結果からさらに50万円を引いた額が所得になります。
事業所得に該当し、青色申告をする場合は最大65万円の控除(令和9年分以降は最大75万円の控除)が受けられます。
メタバース土地の勘定科目と減価償却
メタバースの土地売却を事業所得とする場合、帳簿を付ける必要があります。
さらに、青色申告特別控除の55万円あるいは65万円を受けるためには、貸借対照表を作成しなければなりません。
メタバースの土地の勘定科目は何を使うのか、減価償却はできるか解説します。
勘定科目は何を使う?
メタバースの土地を販売用に購入したのであれば、貸借対照表に棚卸資産として計上します。
売却の際は貸借対照表から、棚卸資産に計上した土地の金額を除きます。
減価償却はできる?
メタバースの土地は減価償却しません。
また、メタバースの土地に活発な市場が存在しないのであれば、年末に時価評価も行わないものと考えられます。
メタバースの土地取得にかかった費用は、売却時の所得から差し引けますが、売却するまでは差し引けないので、注意しましょう。
クリエイターがメタバース税務で失敗しないための対策
クリエイターがメタバースに関する税務で失敗しないためにどういった対策が必要かをそれぞれ解説します。
取引履歴の保存
まず、メタバースの土地を購入・売却した際の価格やそれぞれの仮想通貨レート、手数料を記録または保存しておきましょう。
さらに、取引日時や取引相手、購入・売却した土地の種類や数量、単価も記録しておく必要もあります。
これらの情報は、メタバースの土地売却にかかる税金を算定するための重要な情報であり、仮に後で税務調査が入った際も証拠として提出できるものです。
これらの情報は時間が経つほど忘れたり、入手が難しくなったりするため、後回しにせず取引が発生したタイミングで記録・保存を行うことをおすすめします。
ウォレットの管理
メタバースの土地売買に使う仮想通貨に関して、プライベート用と事業用は別々の口座やウォレットで管理しましょう。
メタバースの土地売却を事業所得として貸借対照表も作る場合、取引に使う仮想通貨も貸借対照表に計上する必要があります。
仮想通貨は計算上の残高と、取引所の取引履歴残高が合わないことが度々起こり、修正に手間がかかります。
こうした残高のズレは手数料の計上もれなどが原因で起こり、大原則として原因を解明し、確定申告の際はズレを修正する必要があります。
仮想通貨をプライベート用と事業用に分けておかないと、こうした残高のズレがプライベート用のものなのか事業用のものなのか分ける作業が必要になるため、非常に手間がかかります。
余計な手間を避けるため、仮想通貨はプライベート用と事業用に分けるようにしましょう。
まとめ

メタバースの土地は税務上、NFTの取り扱いを基に考えます。
現実の土地取得と違い、不動産取得税や固定資産税、登記などは必要ありません。
しかし、メタバースの土地を売却する際は所得税が発生します。
また、メタバースの土地を事業所得かつ青色申告特別控除を受け、売買のお金のやり取りを仮想通貨で行う場合は、仮想通貨の会計上の期末残高が、実際の取引履歴と一致しているかを確認する作業が必要となり手間がかかります。
複雑な計算や対応の判断は、クリエイター特有の税務に強いプロに任せるのが安心です。
田中貴久公認会計士は、クリエイターの確定申告に関して豊富な実績があります。確定申告に関するお悩みは、お気軽にご相談ください。
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