ココナラで売上が伸びてくると、多くのクリエイターが気になり始めるのが「手数料の扱い」と「確定申告」です。特に、振込額(手取り額)をそのまま売上として処理してしまうと、税務上の計算が実態とズレてしまい、後の税務調査で指摘を受けるリスクがあります。

ココナラでは販売価格の約22%が手数料として差し引かれる仕組みですが、この手数料はどのように計上すべきなのでしょうか。

本記事では、ココナラ利用者が確定申告で損をしないために押さえておきたい売上計上の基本と、実務上の注意点を制度解説ベースで整理します。

ココナラの確定申告、いくらから必要?

ココナラで収入を得たといっても、すべての人が確定申告の対象になるわけではありません。確定申告が必要かどうかは、「所得金額」を基準に判断します。

副業としてココナラを利用している給与所得者の場合、年間の所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。一方、専業の個人事業主やフリーランスの場合は、基礎控除の範囲を超える所得が発生した時点で申告義務が生じます。

現行制度では所得が132万円以下の場合の基礎控除は95万円であり、この金額を超えた場合に確定申告が必要です。

なお、副業・フリーランスいずれも「売上」ではなく「売上−経費=所得」で判断する点に注意しましょう。

売上と手数料の正しい記帳方法

では、ココナラを利用した場合の売上・手数料の正しい記帳方法について、会計に関するルールとともに確認しましょう。

 

総額主義の原則

ココナラの取引を帳簿に記載する際は、「振り込まれた金額」ではなく「販売価格(総額)」を売上として計上するのが原則です。これを総額主義といいます。

たとえば、10,000円のサービスを販売し、手数料が差し引かれて7,800円が振り込まれた場合でも、売上は7,800円ではなく10,000円として処理します。そして差し引かれた2,200円は「支払手数料」として別途経費計上します。

なぜ手取り額ではダメなのか?

手取り額を売上として記帳するのではダメなのでしょうか。

手取り額のみを売上として処理してしまうと、事業の規模を実態より小さく記録することになります。これは税務上の判断にも影響し、特に消費税の納税義務判定(課税売上高1,000万円超の判定)などに誤りが生じる原因になります。

また、事業の収益構造を正確に把握できなくなるため、経費率や利益率の分析にも支障が出ます。

以上の2点が手取り額を売上として記帳するのではダメな理由とされています。

具体例

具体的な仕訳例で整理してみましょう。

たとえば、10,000円のサービスを販売し、ココナラの手数料が22%(2,200円)差し引かれ、7,800円が入金されたケースを想定します。この場合の正しい記帳は以下のとおりです。

売上:10,000円
支払手数料:2,200円
普通預金(入金額):7,800円

仕訳上は「売上10,000円」を計上し、同時に「支払手数料2,200円」を経費として計上します。振込額のみを売上とする処理は誤りです。

この処理によって、年間売上高が正確に把握でき、消費税の納税義務判定(課税売上高1,000万円超)や各種補助金申請時の売上基準にも適切に対応できます。

帳簿上の数字は将来の税務判断に直結するため、日々の記帳段階から総額主義を徹底することが重要です。

源泉徴収(源泉あり設定)の場合の注意点

法人クライアントとの取引で源泉徴収をされる場合の注意点についても確認しましょう。

法人クライアントとの取引で「源泉徴収あり」にした場合

ココナラでは、法人クライアントとの取引において「源泉徴収あり」の設定が選択される場合があります。この場合、販売価格から「手数料」と「源泉徴収税額」の両方が差し引かれるため、入金額の計算が複雑になります。

たとえば、10,000円の報酬に対し源泉徴収税率10.21%(※所得税および復興特別所得税)※が適用される場合、まず源泉徴収税額が計算され、その後に手数料が差し引かれます。結果として、実際の入金額はさらに少なくなります。

重要なのは、源泉徴収された税額は「前払いした所得税」であり、確定申告時に精算される点です。経費ではありません。そのため、帳簿上は「売上」「支払手数料」「事業主貸(源泉所得税)」などを区分して処理する必要があります。

計算の順序

源泉徴収ありの取引では、計算の順序を理解しておくことが不可欠です。基本的な流れは次のとおりです。

①販売価格の確定
②源泉徴収税額の計算
③ココナラ手数料の計算

この順番で差し引かれた後の金額が振込額となります。

帳簿処理では、まず販売価格を売上として計上し、次に源泉徴収税額を「仮払所得税」や「事業主貸」として処理し、さらに手数料を「支払手数料」として計上します。

源泉徴収額を誤って経費に含めてしまうと、所得が過少計上となり修正申告の対象となる可能性があります。確定申告書の第二表にある「源泉徴収税額」欄へ正確に転記できるよう、年間の合計額を整理しておくことが実務上重要です。

ココナラ手数料以外に経費にできるものをチェック

ココナラでの販売活動では、手数料以外にも経費として計上できる支出が多数あるので、確認しておいてください。

おひねり(追加支払い)への対応に伴う実費

ココナラでは、正式なサービス販売とは別に「おひねり」として追加報酬を受け取る場面があります。

この場合、追加作業に伴って新たな支出が発生することがあり、これらは事業関連性が認められれば経費計上が可能です。たとえば、イラスト制作の追加依頼に伴う額縁・画材などの購入費、成果物の納品に必要な送料や梱包材費などは「消耗品費」「荷造運賃」等として処理できます。

おひねりは売上として計上する必要がありますが、それに対応する実費を漏れなく記帳することで、所得の過大計上を防げます。

広告費(ココナラ内広告)

ココナラには、自分のサービスを検索結果の上位に表示させる広告機能があります。こうした広告出稿費用は、販売促進のための支出であり「広告宣伝費」として経費計上が可能です。

広告費は継続的に発生しやすく、少額でも年間では大きな金額になることがあります。支払履歴を定期的に確認し、帳簿に反映しておくことで、利益計算の精度が高まります。また、広告投資と売上の関係を把握することで、事業の改善にもつながります。

PC、ペンタブ、Adobeソフト代

ココナラでサービス提供を行うクリエイターにとって、パソコンやペンタブレット、デザインソフトなどは事業の基盤となる設備です。これらは事業使用が明確であれば経費計上が可能です。

一般的には、取得価額が10万円未満のものは「消耗品費」として購入年に全額経費計上できます。一方、10万円以上の機材は「減価償却資産」となり、耐用年数に応じて数年間に分けて経費化します。

プライベート利用を兼ねている場合は、事業使用割合を合理的に算定し、按分して計上する必要があります。按分の根拠を説明できるよう、使用状況のメモや作業時間の記録を残しておくことが実務上重要です。

まとめ

ココナラの手数料は約22%と高い水準であるため、正しく経費計上するかどうかで所得金額は大きく変わります。売上は総額で計上し、手数料は「支払手数料」として処理するという基本を押さえるだけでも、確定申告をスムーズに行うことができます。

源泉徴収の扱いや、制作活動に伴う経費の整理を怠ると、所得を過大に申告してしまう可能性があります。帳簿は「税務対応」と「事業管理」の両面で重要な役割を持つため、日常的な記帳の積み重ねが欠かせません。

特にココナラを活用するクリエイターや個人事業主は、収入形態や経費の判断が一般的な会社員とは異なり、制度の理解が不十分なまま申告してしまうケースも少なくありません。処理に迷う場合は、クリエイターや個人事業主の実務に詳しい専門家へ相談することで、適切な申告と継続的な節税につながります。

ココナラの売上管理や手数料処理、源泉徴収の整理などに不安がある場合は、クリエイター・個人事業主の支援実績を持つ田中貴久公認会計士事務所にお気軽にご相談ください。

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