SNSを利用した収益の一つに広告収入が挙げられます。収益の管理が曖昧なままだと、売上の把握漏れによる帳簿不備や、申告時の経費計上ミスにつながりやすく、広告収入についてはSNSごとに収益化のルールは異なるため注意が必要です。

本記事では、主なSNS広告収入の仕組みと、確定申告における注意点について解説します。

【主要SNS別】広告収入が発生する仕組み

まずは主要SNSごとの収益化の仕組みを押さえましょう。

YouTube(パートナープログラム)

YouTubeの広告収入は、YouTubeパートナープログラムに参加したクリエイターが、自身の動画やショート動画に表示される広告収益の分配を受ける仕組みです。

なお、YouTube公式では、パートナープログラム参加者は広告収益のほか、YouTube Premium、メンバーシップ、Super Chat等の機能を利用できると案内されています。収益の中心が広告収入であっても、実際の入金には複数の収益源が混在することがあるため、管理画面の内訳確認は必須です。

たとえば、長尺動画では動画の前後や途中に広告が表示され、その視聴実績等に応じて収益が計上されます。一方でショート動画は、全クリエイターの動画間に流れた広告収入を一度プールし、国別の総再生数シェア割合に基づいて分配される仕組みであり、通常動画と計算ロジックが異なります。
こうした違いを理解せずに概算だけで売上計上すると、月次管理がずれやすくなるため注意が必要です。

入金はGoogle経由で行われるため、通帳の入金名義とYouTube Studio上の収益データを対応させて保管しておくと、確定申告時や税務調査時の説明がしやすくなります。

X(旧Twitter)

Xの収益化は、投稿の反応や表示実績に関連して、一定条件を満たすクリエイターへ収益が分配される仕組みです。

Xでは動画広告そのものよりも、投稿がどれだけ見られたか、どのようなユーザーに届いたかといった要素が収益に影響する設計が採られています。
X公式の案内では、収益分配はVerified Home Timeline impressionsを基準とする考え方が示されており、単純なフォロワー数だけで決まるわけではありません。

たとえば、同じ1万回表示でも、閲覧された場所やユーザー層、投稿の継続的な露出状況によって、想定する収益と一致しないことがあります。そのため、Xの収入は「バズったら一律でいくら」と考えるのではなく、プラットフォームの分配ルールに従って変動する収益と捉える必要があります。

入金ベースで売上を把握するだけでなく、ダッシュボードの数値も保存しておくと、後から収益の説明がしやすくなります。こうした裏付け資料がないと、申告時に数字の根拠が弱くなり、帳簿不備として扱われるリスクがあります。

Instagram / TikTok

InstagramとTikTokは、従来型の広告分配だけでなく、ボーナス、報酬プログラム、ギフティングなど複数の収益化手段が組み合わさるのが特徴です。

どちらも「再生数に応じた収益」と「ファンからの直接支援」が併存しやすく、収益源の切り分けが重要だからです。Instagramでは、対象クリエイター向けのボーナスプログラムや、リールに対するギフト機能が案内されています。TikTokでは、Creator Rewards Programにおいて対象動画のパフォーマンスに応じた報酬が付与され、加えて動画へのギフティングなどの仕組みもあります。

たとえば、Instagramでリールに対してギフトを受け取った収入と、TikTokで報酬プログラムから受け取った収入は、どちらも「SNS収益」ではありますが、発生原因は同じではありません。

さらに、時期やアカウント条件によって使える機能が変わるため、「前月は入っていたのに今月は入らない」といったことも起こります。こうした収益は、どの機能で発生したかをメモしながら管理するのが安全です。

特に初心者の段階では、入金が少額でも記録を怠ると、後でまとめて確認する際に漏れが出やすく、過少申告や修正申告の原因になります。なお、ボーナス機能は招待制・試験提供の要素を含むことがあるため、利用可否はアカウントごとに確認が必要です。

広告収入以外の収益ルート

SNSで得るお金は広告収入だけではなく、企業案件、アフィリエイト、自社商品販売、ライブ配信での投げ銭など、性質の異なる収益ルートに分かれます。

たとえば、企業案件は広告主や代理店との契約に基づく報酬であり、成果物や納期が決まっていることが多い一方、アフィリエイトは成果発生ベースで報酬が計上されることがあります。
自社商品販売は物販やコンテンツ販売に近く、在庫や決済手数料の管理が必要になる場合もあります。これに対し、プラットフォームからの広告収入は、基本的に分配ルールに従って自動計算されます。

そのため、同じSNS経由の売上でも、契約の有無、請求書の発行要否、必要経費の考え方、証憑の残し方が変わるため、分けて考える必要があります。

これらを全部まとめて「SNS売上」としてしまうと、何の対価かわからなくなります。その結果、経費対応や売上計上時期の判断が曖昧になり、税務調査で説明しにくくなります。

収益が増えてきたら、最低でも「広告収入」「企業案件」「アフィリエイト」「投げ銭・ギフト」「商品販売」くらいには区分して管理すると安全です。こうした区分管理は、会計ソフトに取り込む際にも有効で、帳簿不備の予防につながります。

お金はどこから来る?広告費の流れを理解

SNSの広告収入がどこから来るのかを確認しましょう。

登場人物

SNS広告収入の流れを理解するには、広告主、プラットフォーム、クリエイター、視聴者の4者を区別して考えるのが基本です。

広告主は、自社商品やサービスを知ってもらうために広告費を支払う企業です。

プラットフォームは、YouTubeやX、Instagram、TikTokのように、広告を配信し、クリエイターの投稿を表示する場を提供します。

クリエイターは、その場で動画や投稿を公開し、収益化条件を満たしたうえで分配を受ける立場です。

視聴者は、そのコンテンツを視聴し、広告を見たり反応したりする存在です。

アドネットワークの仕組み

アドネットワークとは、多数の広告主と配信先をつなぎ、広告を自動的に配信・最適化する仕組みです。

SNS広告収入では、企業が広告予算を出し、その広告がプラットフォーム上のコンテンツに表示されます。プラットフォームは広告費の全部をそのまま渡すのではなく、システム利用や配信管理の役割を担いながら、一定のルールでクリエイターへ分配します。

つまり、クリエイターに入ってくるお金は、広告主の支払額そのものではなく、分配後の金額です。

なぜ「単価」が変わるのか

SNS広告収入の単価が変わるのは、広告主の需要、視聴者属性、コンテンツのジャンル、視聴地域、季節要因など、複数の要素が重なっているからです。

たとえば、年末商戦の時期は広告出稿が増えやすく、広告単価が上がることがあります。一方、広告需要が弱い時期や、広告主が集まりにくいジャンルでは、同じ再生数でも収益が伸びにくい場場合があります。

また、視聴者の属性や居住地域によって広告価値が変わるでしょう。YouTubeの場合、動画再生回数 1,000 回あたりの収益額を表す指標であるRPMも影響します。収益は単なる再生数だけでなく、複数の収益源や視聴の質の影響を受けています。

SNS収入と税金の関係

SNS収入と税金の関係について確認しましょう。

いくら稼いだら確定申告が必要?

給与所得者が副業としてSNS収益を得ている場合、給与・退職所得以外の所得が20万円を超えると、所得税の確定申告が必要です。一方で、専業でほかに所得控除の前提が特にないケースでは、所得が基礎控除額である95万円を超えると申告が必要です。

なお、これは所得税についての話で、住民税については1円から申告が必要な点に注意をしましょう。

所得の種類

SNS収入の所得区分は、「雑所得」または「事業所得」のいずれかとなります。

無申告のリスク

SNSから広告収益を得ており、確定申告が必要であるにもかかわらず、確定申告をしない場合、
無申告加算税・延滞税というペナルティが発生します。また、悪質と判断されると重加算税というさらに重いペナルティも発生します。

YouTubeやTikTokの入金を「少額だから」と放置していたところ、数年分をまとめて指摘されると、本税に加えて加算税・延滞税の負担が生じることがあります。

著名であるような場合にはニュースなどで報道されるなどして、SNSを使った事業の継続が困難となる可能性も否定できません。

海外法人利用時の注意点

GoogleやX、TikTokなど海外系プラットフォームから入金を受ける場合でも、日本居住者であれば、その収入が日本での申告対象になる点は基本的に変わりません。

国内企業からの報酬と違って、税務フォームの提出、海外源泉税、支払明細の保存など、確認すべき事項が増えるので、確認には注意が必要です。

AdSenseやYouTube収益について米国税務情報の提出が必要で、税務情報は3年ごとに再提出を求められます。また、Google Paymentsでは、所在地等によって税関連情報の提出が必要になる場合があります。

TikTokの場合クリエイター向け税務情報ページで、米国内エンゲージメント由来の報酬についてはW-8BENやW-8BEN-Eが必要です。

また、YouTube収益を受け取っている人が税務情報を未提出のままにしていると、想定外の源泉徴収や支払保留となる可能性もあります。

海外法人からの入金だから日本で申告しなくて良い、という理解は誤りです。実務では、どのプラットフォームから、何の名目で、いくら入金されたのかを月ごとに整理し、支払明細・管理画面・銀行入金履歴をセットで保存しておくのが良いでしょう。

海外税務フォームの取扱いはサービスや契約主体で変わるため、わからない場合は各社ヘルプと税理士確認を併用するのが良いでしょう。

まとめ

SNSを利用して収益をあげる場合には複数のSNSを利用するのが一般的ですが、SNSの種類ごとの収益化の仕組みや、入金後の管理を確実に行う必要があります。

少額のうちから会計ソフトで管理を始めておくと、確定申告や税務調査への備えがしやすくなりますし、万一見直しが必要になっても修正申告に対応しやすくなります。

制作や発信に集中するためにも、税金の管理は早めに整えておくのが実務的です。自分だけで判断しにくい場合は、税理士に相談しておくのが賢明です。田中貴久公認会計士事務所はクリエイター・個人事業主の税務・会計に強みを持っているので、お気軽にご相談ください。

‐免責事項‐

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