
売上がある程度でてくると、税務調査が来るのか不安になることはよくあります。
確定申告はきちんとしていても、いざ税務調査の対象になると何を用意したらいいかわからないという人も多いでしょう。
この記事では個人クリエイターでも税務調査が来るのか、税務調査の対象になりやすい人の特徴を解説します。
また、税務調査の流れや準備しておくもの、チェックされやすい経費についても説明します。
個人のクリエイターにも税務調査は来る
個人のクリエイターでも税務調査の対象になります。
売上規模が1,000万に届かなくても、売上の変動が激しい、申告していない状態が続いているなどの場合は税務調査の対象になりやすいです。
税務調査についてはネット上などで様々な体験談がありますが、鵜呑みにせずに専門家である税理士に相談するのが確実です。
税務調査に選ばれやすい人の特徴
税務調査に選ばれやすい人の特徴について、それぞれ解説します。
数年間、確定申告をしていない(無申告)
確定申告をしていない無申告の状態で稼ぎがありそうな人に対して、税務署は力を入れて調査をしています。
申告をしていなければ調査対象にならないのではと考える方もいますが、銀行の履歴や取引先の調査から発覚する場合や、第三者からのタレコミで発覚する場合があります。
クリエイターの場合、知名度が上がるとそれだけ嫉妬の対象になりやすく、第三者からタレコミを受けやすい立場といえます。
無申告が発覚した場合は「無申告加算税」というペナルティを受け、追加で税金を納める必要があります。
毎年、売上に対して経費率が異常に高い、赤字が続いている
クリエイターの経費として明らかに経費計上額が高すぎる場合や、長期間にわたって赤字申告が続いている場合は調査対象になりやすいです。
この場合、経費の架空計上や、プライベートの支出をクリエイター業の経費にしているのでは、と疑われる可能性が高くなります。
特に経費の内容が不明確な場合は、調査の対象になりやすいです。
売上が1,000万円ギリギリで推移している(調整を疑われる)
売上が1,000万円にギリギリ届かないくらいで推移していると、売上の調整を疑われ税務調査の対象になりやすいです。
年間の課税売上高が1,000万円を超えると消費税の課税事業者となり、消費税の申告・納付が必要になります。
そのため、売上が900万円台など1,000万円に少し届かないくらいの申告が続くと、消費税の課税事業者となることを避けるため、計上していない売上があるのではという疑いをもたれやすくなり、税務調査の対象となる可能性が上がります。
SNSで景気の良い投稿が目立つ
SNSで売上〇〇円達成といった投稿や、高額資産を自慢するような投稿など、景気の良い投稿をしていると税務調査の対象となりやすいです。
税務署側はSNSでの投稿を情報収集手段の1つとしており、景気の良い投稿をしている相手を税務調査の対象とする場合があります。
また、そういった投稿をしていると第三者から嫉妬の対象となりやすく、税務署へタレコミをされる可能性が高まります。
そのため、SNSでは景気の良い投稿はしないよう注意しましょう。
顧問税理士を雇い、SNSに投稿して問題ないかチェックしてもらう手段も有効です。
税務調査の流れと、当日までに準備しておくべきこと
どれだけ注意していても、税務調査の対象となることはあり得ます。
税務調査の対象となってしまった場合の当日の流れと、事前に準備しておくべき事項について解説します。
税務調査の流れ
税務調査では、実地調査の2週間前ごろに事前に電話または書面で通知が入ります。
税理士に申告を依頼しており、申告書に税務代理権限証書を添付して申告していた場合は、基本的に税理士へ連絡がいきます。
その後、税務署と調査実施日の調整を行い、実施日を確定させます。
実施日までに帳簿や領収書、契約書や通帳などの書類を揃えておきましょう。
税理士に依頼しているのであれば、必要書類の不備や漏れがないか確認できます。
調査実施日になると、税務署の職員が自宅や事務所、店舗を訪問します。
基本的には最初に事業概要などのヒアリングが行われ、その後に帳簿や書類、現金などのチェックが行われます。
通常は1日から2日程度で終了し、その後調査結果が決定します。
税務署から指摘があり、それを認める場合は修正申告をし、追加の納税がある場合は不足分や延滞税などを税務署に納めます。
税務署の指摘に納得せず、修正申告しない場合は税務署側が更正という課税処分を行います。
税務署側の指摘に対し、税理士がいれば説明や交渉、追加の資料提出などの対応をしてもらえます。
準備する書類リスト
税務調査の際に準備が必要な書類は主に下記になります。
| 準備する書類 |
|---|
| 申告書 |
| 青色申告決算書 |
| 契約書、納品書、請求書、領収書 |
| 通帳、クレジットカード明細 |
税務調査ではまず申告関係の書類を調査されるため、所得税の確定申告書、消費税の課税事業者であれば消費税申告書を用意しましょう。
青色申告をしている場合は、青色申告決算書も併せて準備します。
加えて、仕訳帳や総勘定元帳も提出できるように用意が必要です。
売上や仕入、経費関係の書類は税務調査で特に重視される項目のため、契約書、納品書、請求書、領収書といった書類も必ず用意しておきましょう。
取引の流れが追えるようにファイルにまとめて整理しておくとスムーズです。
売上や仕入、経費のうちどの年に申告すべきものかが明確にわかるよう、特に年末前後の取引について納品書や請求書、領収書などで説明できるように準備しておきましょう。
在庫がある場合は、二重計上がないかチェックできるように外注費や仕入など在庫に関連する書類を整理してください。
その他、お金の流れが追えるように通帳やクレジットカード明細も用意しておきましょう。
ネットで購入したものなど、領収書や請求書を電子データで入手した場合は、データもすぐに提示できるように整理しておきましょう。
会計ソフトのデータについてもバックアップデータをとっておき、データが消失しないように対策が必要です。
【クリエイター向け】税務署にチェックされやすい経費の例
クリエイターが確定申告や税務調査の際にチェックされやすい経費の例をいくつか紹介します。
ただし、紹介するのはあくまで一例であり、税務調査の職員がこちらの予想していない箇所に注目する場合もよくあります。
ここで紹介する経費だけではなく、不明瞭な経費を含める、プライベートの支払いを経費計上するといったことはしないようにしましょう。
家事按分(家賃・光熱費など)
自宅で仕事を行っており、家賃や光熱費の一部を家事按分している場合、按分が適切かチェックされやすいです。
仕事部屋の面積やPCの使用時間など、客観的で合理的な根拠に基づいて按分し、部屋の間取り図やPCの使用時間の記録など証拠となるものを揃えておきましょう。
旅費交通費・接待交際費・会議費・消耗品
旅費交通費のうち、プライベートな旅行代金を経費に入れていないかチェックされやすいです。
宿泊費や交通費の目的を明確に説明できるようにしておきましょう。
また、プライベートの飲食代や交遊費を経費計上していないかもチェックされやすい対象のため、目的や接待交際費の相手、人数などを記録しておき、税務調査の際に説明できるようにしておく必要があります。
資料用にゲームや漫画を購入した場合、資料として使用したことを説明できるように準備してください。
外注費と給与の区別
作品制作においてアシスタントに協力してもらっており報酬を支払う場合、外注費と給与どちらになるかで、必要な手続きや税金の扱いが変わってきます。
どちらに該当するかは慎重に区別しましょう。
給与になる場合は、給与額の一部を源泉徴収して税務署に納める必要があります。
源泉徴収して税務署に納めていないと、ペナルティとして追徴課税の対象になるため注意が必要です。
また、消費税の課税事業者の場合、外注費は消費税法上の経費にできますが、給与は経費にはできません。(所得税では外注費と給与どちらでも経費にできます。)
このように外注費か給与かで扱いが異なるため、判別を慎重に行う必要があります。
まず、アシスタントとの契約内容が雇用契約か業務委託・請負契約なのかを確認しましょう。
ただし、業務委託・請負契約でも作業手順や進め方に細かい指示がある、作業場所や道具を依頼主が用意している、作業に応じて報酬を支払っている、作業時間や曜日が決まっているなどの場合は給与と判断されるケースがあるため、実態をみて判断する必要があります。
判断に困った場合は税理士に相談することをおすすめします。
まとめ

個人のクリエイターにも税務調査が来る可能性はあります。
ただし、毎年適切な確定申告をして、かつSNSで不用意な発言をしなければ税務調査が来る可能性は下げられます。
また、税務署にチェックされやすい経費を理解し、家事按分の計算根拠や経費の目的・相手方を記録しておきましょう。
実際に税務調査の対象になった際に、税理士に依頼することで準備をお願いでき、調査官への質問対応などを行ってもらえます。
また、税務署側が過度な指摘や追徴課税を行おうとしてきた場合でも税理士が対応してくれるため、安心感があります。
税務調査の時のみ税理士にお願いするよりも、普段から顧問税理士をつけておくことで適切な経費計上や確定申告、税務調査でのスムーズな対応をしてもらえます。
田中貴久公認会計士は、クリエイターの確定申告に関して豊富な実績があります。確定申告や税務調査に関するお悩みは、お気軽にご相談ください。
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