確定申告の方法は「自分で申告書を作成し提出する」という原則的な方法の他に、税理士に依頼する方法があります。

「漫画家でも税理士に依頼すべき?」
「税理士に依頼すると高額な報酬が発生しないか心配」

など、税理士に関する疑問や心配の声を多く聞きます。

そこで今回は、漫画家が税理士に依頼することで得られるメリットや、税理士報酬の相場などについて解説していきます。

漫画家が税理士に相談するメリット

確定申告業務を税理士に依頼することで、税理士に対する一時的な報酬が発生してしまいますが、その分得られるメリットは多くあります。まずは税理士に依頼するメリットを確認し、自分にとってプラスになるのかどうかを検討してみましょう。

メリット①:確定申告の手間と時間を大幅に削減

税理士に依頼するメリットの1つに、確定申告にかかる手間と時間を大幅に削減できることが挙げられます。確定申告では次のような作業を行う必要があり、多くの手間と時間がかかってしまいます。

・日々の帳簿づけ
・売上および経費の集計
・請求書および領収書の整理
・申告書類の作成

このように、確定申告は日々の帳簿づけから集計作業、そして申告書の作成など、多くの時間と手間がかかる作業になります。これらの作業を本業である漫画活動のかたわらで行っていくことは、非常に大変なことであり、非効率的であるともいえます。

そのため、税理士に依頼することでこれらの面倒な作業から解放され、本業である漫画活動に専念することができます。

また、締め切り期限と確定申告時期が被ってしまった場合においても、精神的に追い詰められ、漫画活動や確定申告業務に支障をきたすことも考えられます。精神的な負担を減らすという意味でも、税理士に依頼することは非常に効果的であるといえます。

メリット②:節税に繋がり、手元にお金が残りやすい

確定申告などの手続きを税理士に依頼することで、節税対策を行うことができ、結果として手元にお金を残しやすくなることもメリットの1つです。

税理士は税務の専門家であるため、毎年の税制改正に基づいた節税対策を中心に、最適なアドバイスをしてくれます。効果的な節税対策を行うことで、無駄な税金を納める必要がなくなり、手元にお金が残りやすい状況をつくることができます。

また、漫画家には資料代や取材費など、他の事業者にはない特有の経費が発生します。これらの経費を最大限に活用した節税対策や、平均課税制度を使った税金計算も行ってくれるため、最小限の納税額で済ませることができます。

平均課税とは、収入が突然増加する可能性のある漫画家など、一定の条件を満たす業種のみが使える税金の計算方法で、高い節税効果が見込めます。

メリット③:税務調査のリスク軽減と安心感

漫画家に限らず、全ての事業者にとって厄介な「税務調査」のリスクを軽減できることも、税理士に確定申告を依頼する大きなメリットの1つです。

税務調査は確定申告の内容が正しいかどうかを判断するために、実際に事業所を訪れたりする調査のことをいいます。税務調査においては次のようなことが調べられます。

・帳簿などの書類を調査する「書類調査」
・事務所や作業場などの状況を調査する「現場調査」

など、状況に応じて調査対象の範囲が広がっていきます。また、調査範囲としては、おもに次のようなものが調査されます。

・帳簿関係
・金庫や通帳
・領収書や請求書
・売上の根拠資料(レジペーパーや予約帳など)

上記以外にも、状況や税務調査官によって調査内容が異なる点があるため、日頃の帳簿などは特に気をつけておく必要があります。

税務調査時においては、税理士が税務調査官との交渉を行ってくれることや、税理士と契約しているという点だけで税務署からの信頼度も上がるため、安心して税務調査に臨むことができます。

【費用】漫画家が税理士に依頼する場合の料金相場

税理士の契約方法は大きく分けて「スポット契約」と「顧問契約」に分かれます。事業規模や相談内容によって、どちらの契約が適しているかは異なるため、まずはそれぞれの契約内容の特徴と料金相場について確認していきましょう。

スポット契約(確定申告のみ)の費用相場

スポット契約とは、単発的な契約のことで、依頼があった場合に関与する契約形態のことをいいます。たとえば、スポット契約では次のような契約形態があります。

・確定申告書や決算書のみを作成してもらう
・日々の記帳業務だけを依頼する
・臨時的な税務手続きのみを依頼する

このように、特定の業務を税理士に依頼したい場合は、スポット契約を選択することをおすすめします。

また、スポット契約の場合における料金相場は、依頼する業務内容や事業規模によって異なりますが、小規模事業者が確定申告のみを依頼する場合、5万円~15万円程度となっています。

顧問契約の費用相場

顧問契約とは税務や会計業務を、継続的に税理士が関与する契約形態のことをいいます。顧問契約では税理士が毎月関与することが一般的で、小規模事業者における料金相場としては月額1万円~3万円程度となっています。

料金相場はスポット契約と比較し、高額となりますが日々の記帳代行や節税対策など、継続的な税務サポートによる漫画家の負担軽減が期待できます。

そのため、売上が安定し継続的な節税対策などを行いたい場合や、税務や会計業務を全て税理士に依頼し、本業に集中したい場合などは顧問契約がおすすめです。

【丸投げ】税理士にどこまで任せられる?

税理士に依頼する場合は、日々の帳簿整理や領収書整理、そして申告書の作成など、日々の会計業務から税務業務まで幅広く任せることができます。

税理士には「独占業務」があり、独占業務とは税理士や弁護士、行政書士など、特定の士業にのみ認められた特定業務のことをいいます。税理士の独占業務は「税務の代理」「税務書類の作成」「税務相談」となっており、それぞれの業務内容は次のとおりです。

「税務代理」・・・税務署に提出する書類の作成や提出、税務調査時における立ち合いや交渉などがあります。

「税務書類の作成」・・・所得税申告書や相続税申告書などの税務申告書、届出書類の作成業務などがあります。

「税務相談」・・・税金に関する様々な問題について税理士に相談し、適切なアドバイスを受けることを指します。税務リスクや節税対策、場合によってはキャッシュフローなどの財務状況などに関する相談も受けます。

このように税理士は、日々の領収書整理などの会計業務や、申告書類の作成から提出手続きなどの税務業務を任せることができます。

【おすすめ】漫画家に強い税理士の選び方

一般的に税理士を探す際は、料金面を重要視する方がほとんどです。しかし、漫画家のように特殊な事業である場合は、漫画家のことに理解が深い税理士を探すことが重要です。ここでは漫画家が税理士を探す際のおすすめポイントを3つ紹介します。

ポイント①:クリエイター業界への理解と実績

漫画家は印税収入や取材費用など、漫画家特有の収入と経費があるため、これらの仕組みや考え方を理解できている税理士がおすすめです。

また、漫画家に限らず、クリエイター業界全体に対して特化しているのかや、ITツール等の対応についても重要な判断基準となります。

ポイント②:クラウド会計ソフトへの対応

税理士事務所の多くは会計ソフトを導入していますが、会計ソフトがfreeeなどのクラウド対応のものであるかも大事なポイントです。

クラウド型会計ソフトの場合は、日々のデータのやり取りがスムーズにできることや、収支データを入力することでリアルタイムで現在の経営状況を確認することができます。

ポイント③:コミュニケーションの取りやすさ

税理士との相性も非常に重要なポイントになります。税理士はいわばビジネスパートナーといえる存在であるため、長い付き合いになると考えた場合に「ストレスなく、円滑なコミュニケーションが取れるか」が重要になります。

また、自分自身の考え方を理解してもらえるかどうかも重要です。そのため、税理士を探す際は直接会って確認するようにしましょう。

まとめ

漫画家にとって税理士は、会計業務や税務業務の時間と手間を削減してくれるだけの存在ではなく、本業である漫画活動を最大限にサポートしてくれる存在です。また、適切な節税対策などを行うことで、資金面でのサポートも行います。

そのため、少しでも漫画活動に専念したい場合や、税金に関する悩みや心配がある場合は、積極的に税理士に依頼するようにしましょう。

田中貴久公認会計士事務所では漫画家やクリエイターをはじめ、様々な事業者様を多方面的にサポートいたします。ITツールをはじめとしたクラウド会計にも強い税理士ですので、まずは気軽にご相談ください。

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