フリーランスのイラストレーターとして活動する中で、「税理士は必要なの?」「費用はいくらかかる?」といった、税金に関する不安をお持ちではないでしょうか。

この記事では、フリーランスのイラストレーターが税理士へ依頼するメリットから、具体的な費用相場、そして自分に合った税理士の選び方までを分かりやすく解説します。

イラストレーターが税理士に依頼する3つのメリット

イラストレーターが確定申告を税理士に依頼することで、複雑で手間のかかる確定申告から解放され、創作活動に集中する時間を確保できます。

また、税理士による適切な節税アドバイスにより、結果的に手元に残るお金が増える可能性があります。

以下、確定申告を税理士に依頼するメリットについて3つにわけて紹介します。

メリット①:確定申告や経理の手間から解放される

フリーランスのイラストレーターが関係する税金は所得税と、人によっては消費税です。

税理士に依頼すれば、帳簿付けから決算書および申告書の作成・提出まで、手間のかかる作業を任せられます。

確定申告で控除が受けられ、節税メリットのある「青色申告」をする場合は日々の取引を複式簿記で記帳しますが、複式簿記は記帳が複雑になるため、慣れていないとかなり手間がかかります。

また、消費税の申告義務がある場合、さらに売上や経費ごとに課税対象かを判断し、適切な税率を設定しなければなりません。

その後、決算書と確定申告書を作成し、申告をして税金の納付までを期限内に終わらせる必要があります。

所得税の申告期限は翌年2月16日から3月15日まで、個人事業主の消費税の申告期限は翌年3月31日までで、土日祝の場合は次の平日までが期限になります。

特にこうした申告期限が締切前の多忙な時期と重なると、負担が非常に重くなってしまいます。税理士に記帳から決算書作成、申告までを任せることで負担から解放され、本業の創作活動に集中できます。

メリット②:最適な節税アドバイスが受けられる

確定申告の際に経費にできるのは本業に関わるものだけです。イラストレーターの場合は資料代や機材費などが該当します。

ただし、どういった費用まで申告上の経費に含められるかはケースバイケースなところもあり、認められない費用を経費として確定申告してしまうこともあるでしょう。その際、後から税務調査が入った場合に経費計上を否認され、追徴課税を課せられ、追加でお金を支払うこととなる可能性があります。

税理士に相談すれば、どういったものが経費に入れられるのかのアドバイスを受けられ、追徴課税のリスクを低くできます。

また、生命保険料控除やふるさと納税、小規模企業共済等掛金控除といった控除を活用した節税策の提案も受けられます。

消費税に関するインボイス制度への対応や、法人化のタイミングなど、事業のステージに合わせたアドバイスも受けられるため、税金額をトラブルなく抑えたい場合は税理士に相談しましょう。

メリット③:税務調査のリスク軽減と安心感

ある程度の事業規模、例えば売上が1,000万円を超えており消費税の申告義務がある個人事業主などで、税理士が関与していない場合、税務調査の対象となりやすいです。

これは、事業規模が大きい場合は帳簿管理や確定申告でミスや不備が発生しやすく、税金額の計算を間違った場合に、間違えた額が多額となりやすいためです。

税理士に帳簿作成や確定申告を依頼することで、申告書の不備や不正の恐れが少ないと判断され、税務調査の対象になりにくくなります。

また、いざ税務調査が入った場合でも、税理士に税務調査の立会をお願いできるため、調査官に適切に対応してもらえます。

【費用】イラストレーターが税理士に依頼する場合の料金相場

税理士に依頼する場合の費用は、売上規模や仕訳の量、記帳代行まで頼むのか、確定申告のみのスポット業務か顧問契約かなどにより金額が変わってきます。

大きく差が出るのはスポット契約と顧問契約の場合のため、それぞれにわけて解説します。

スポット契約(確定申告のみ)の費用相場

スポット契約では、年に一度、確定申告の時期だけ依頼する契約になり、金額の目安は下記になります。

取引量や売上金額が増えるほど料金は上昇し、イラストレーター業以外にも不動産や株をやっており確定申告内容が複雑になると料金が上がる要因になります。

なお、取引量が多く、確定申告のみでは対応しきれない場合は、スポット契約ではなく顧問契約のみしか受け付けてもらえない場合もあります。

また、地方より都市部の方が相場が高い傾向にあり、大手の税理士法人の方が金額が高くなります。

顧問契約の費用相場

顧問契約の場合、費用相場は下記になります。

年間売上が500万円未満であれば、顧問契約は必要なく、確定申告のみの対応で十分な場合が多いです。

逆に、年間売上や取引量が多い場合は確定申告のみでは対応しきれず、顧問契約をすすめられる場合や、顧問契約しか受け付けてもらえない場合もあります。

顧問契約をすることで、記帳のチェックや日々の税務に関する相談をしてもらえます。記帳代行まで依頼する場合は金額が上昇します。

スポット契約と同様、売上規模や取引量が多くなると金額が上昇するほか、確定申告の複雑さや都市部かどうかなどで金額が変わります。

顧問契約をした場合、確定申告は別料金になり、おおよそ月額顧問料の4〜6か月分が相場となります。

例えば、月額顧問料30,000円×12か月+確定申告料金150,000円で年間510,000円がかかります。

税理士への依頼を検討すべきタイミング

すべてのフリーランスのイラストレーターに税理士が必要なわけではありません。自身で確定申告を行う場合でも、青色申告ソフトや会計ソフトを使用することで、日々の記帳や確定申告書を作成する負担がかなり減らせます。

しかし、会計ソフトだけでは税務判断ができなかったり、税金計算を間違えたりするリスクがあるため、下記に該当する場合は税理士への依頼を検討しましょう。

・売上が増加し、年収1,000万円を超えている
・インボイス登録を考えている
・税務調査の連絡が入った
・法人化を検討している
・節税の相談がしたい

売上が増加して1,000万円を超えている場合や、インボイス登録をする場合、消費税の確定申告をする必要があります。消費税の記帳や確定申告書の作成は難易度が高くなるため、税理士に依頼するのを強くおすすめします。

【選び方】フリーランス イラストレーターに強い税理士とは?

フリーランスのイラストレーターが税理士を選ぶ際、料金だけで選ぶのは避けた方がいいでしょう。税理士によって詳しい領域とそうでない領域がわかれているため、自身の活動への理解度が高く、親身に相談に乗ってくれる税理士を選びましょう。

税理士を選ぶポイントについて解説します。

ポイント①:クリエイター業界への理解と実績

クリエイター業に対応している税理士を見つけたら、クリエイター業の顧問実績が豊富かを確認しましょう。

クリエイター業といってもイラストレーターや漫画家、YouTuberなど様々あり、イラストレーター業の顧問実績が豊富でない場合もあるため、確認が必要になります。

イラストレーター業に特化した税理士からは、イラストレーター特有の経費計上の仕方や節税対策について、適切なアドバイスをもらえます。

ポイント②:クラウド会計ソフトやITツールへの対応

freeeなどのクラウド会計ソフトに対応している税理士であれば、データのやり取りをスムーズに行えます。さらに、口座やクレジットカードとクラウド会計ソフトを連携することで、自動で収入や支出が記帳され、税理士はリアルタイムで経営状況が把握できます。

また、ChatworkやSlackを導入している税理士とはコミュニケーションがスムーズに行えるため、相談や情報共有の手間が減ります。

ただし、自身が使用しているITツールに対応しているとは限らないため、どのITツールに対応しているかを事前に確認しましょう。

まとめ

イラストレーターが税理士に依頼するメリットは、日々の記帳や確定申告の時間と手間の削減、税務調査対応、最適な節税案の提案です。

税理士の料金は高く感じるかもしれませんが、確定申告の作業をほぼ丸投げできるため、創作活動に集中できます。

また、税金対策をしてもらうことで税金が大きく減ったり、追徴課税のリスクを下げられたりするため、金銭的なメリットも大きいです。

当事務所は、フリーランスのイラストレーターをはじめとするクリエイターへの豊富な実績があります。確定申告や日々の経理に関するお悩みは、お気軽にご相談ください。

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