近年、ゲーム業界やメタバース関連サービス、VRChatなどの分野で3Dモデラーの需要は急速に拡大しています。キャラクターデザインや背景制作、アニメーション用のモデルなど、その活躍の場は多岐にわたり、働き方によって収入や年収相場も大きく異なるのが実情です。

これから3Dモデラーを目指す人や、副業としてスキルを活かしたい人にとって、収入の目安や税金の基礎知識を把握しておくことはとても重要です。

本記事では、求人情報や実際の案件相場をもとに、3Dモデラーの働き方別の年収・収入の実態を解説し、さらにフリーランスや副業に欠かせない確定申告や節税のポイントについても詳しく紹介します。

【働き方別】3Dモデラーの年収・収入のリアル

まず、3Dモデラーの年収・収入についてリアルな数字を確認してみましょう。3Dモデラーの年収・収入は会社員・フリーランス・副業かどうかによって変わります。

会社員の3Dモデラーの年収相場

会社員としての3Dモデラーは、ゲーム会社や映像制作会社、アニメーションスタジオなどで活躍しています。求人情報によると、未経験可のポジションでは年収300万円前後からスタートするケースが多く、実務経験を積むにつれて400万~600万円程度に上がることが一般的です。

シニアクラスやリードモデラーになると、マネジメントスキルも加わり、700万円以上の年収を提示する企業もあります。特に大手ゲーム会社や映像制作会社では、海外市場に展開しているため高待遇が期待できるケースもあります。

一方、中小規模の制作会社では給与水準がやや低めで、300万~500万円程度に収まる場合が多いのが実情です。安定性や福利厚生を重視する人にとって、会社員は安心できる働き方といえるでしょう。

フリーランス3Dモデラーの収入相場

フリーランスの3Dモデラーは、プロジェクト単位で案件を受注するのが基本スタイルです。たとえば、キャラクターモデル1体で5万円~20万円程度、背景アセットの制作で数万円から十数万円と、作業内容や納期によって報酬は大きく変わります。

経験豊富なクリエイターであれば、1件あたり数十万円規模の案件を複数同時に進行し、年収換算で600万~800万円を狙うことも可能です。

ただし、受注が安定しない時期は収入が大きく下がるリスクもあるため、営業活動やポートフォリオの充実が欠かせません。

また、確定申告や経費管理も自己責任となるため、収入を最大化するには税務知識の習得も必要です。自由度が高い反面、安定性の確保が課題となる働き方といえるでしょう。

副業・アルバイトとしての3Dモデラーの収入相場

副業やアルバイトとして3Dモデラーをする場合、案件ごとの収入は比較的小規模になります。学生や社会人がスキルを活かし、副収入を得るケースが多く、たとえば、短時間のアセット制作や既存モデルの修正といった作業で1案件数千円から数万円程度です。副業として月数万円の収入を積み上げる人もいれば、スキルが高ければ月10万円以上を安定して稼ぐことも可能です。

クラウドソーシングサイトやSNSを活用すれば案件獲得のチャンスは広がりますが、本業との両立や納期管理には注意が必要です。

また、副業収入が年間20万円を超えると確定申告が必要になる点も見落とせません。収入規模は限定的ですが、実務経験を積みながらキャリアを広げられるメリットがある働き方です。

フリーランス・副業3Dモデラーの確定申告

フリーランスや副業収入がある人は、自分で所得を計算し申告する義務が発生します。確定申告を怠ると延滞税や加算税が課される恐れがあるため、早めに準備しておくことが必要です。

確定申告が必要になるのはいつから?

確定申告が必要となる基準は、働き方によって異なります。専業フリーランスの場合、基礎控除を差し引いた後の「所得」が95万円を超えた時点で申告が必要です。また、会社員で副業をしている人は、給与以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。

ここでいう「所得」とは、収入から必要経費を差し引いた金額のことを指します。つまり、単に売上が20万円を超えたら即申告が必要というわけではなく、経費を差し引いた純利益が基準を超えるかどうかで判断されます。

副業であっても一定以上の収入がある場合は、必ず領収書や帳簿を整理しておき、スムーズに申告できるよう準備しておくことが大切です。

さらに、申告の有無によって住民税額も変動するため、地方自治体からの通知にも注意が必要です。特に副業を会社に知られたくない人は、住民税の徴収方法を「普通徴収」に切り替える工夫も求められます。

3Dモデラーの経費にできるもの

3Dモデラーとして活動する場合、制作に必要な支出の多くを経費として計上できます。

たとえば、パソコンや液晶タブレット、3Dソフトウェアのライセンス料、クラウドサービス利用料は代表的な経費です。また、仕事に関連する書籍や参考資料、セミナー・勉強会の参加費用も対象となります。

さらに、自宅を作業場として使っている場合には、家賃や光熱費の一部を按分して経費に計上することが可能です。打ち合わせに利用した交通費やカフェ代も、業務上必要と認められれば経費扱いになります。

経費として認められるかどうかは「業務に必要かどうか」が基準となるため、領収書や利用明細をしっかり保管しておくことが大切です。正しく経費を計上することで、課税所得を減らし、手取り収入を増やすことにつながります。

加えて、クラウド会計ソフトを利用すれば仕訳や管理の手間が減り、経費漏れの防止や効率化にも役立つでしょう。さらに、打ち合わせでの通信費やポートフォリオ用のWebサイト維持費も対象となるため、見落とさないよう注意が必要です。

【節税】3Dモデラーが手取り収入を最大化する方法

3Dモデラーとして活動するうえで、収入をいかに手取りとして残すかは大きな課題です。報酬が高額であっても、税金や社会保険料によって実際の可処分所得は大きく目減りしてしまうため、合法的に節税を行う知識が欠かせません。

まず基本となるのは、必要経費の計上です。業務に使うパソコンやソフトウェアのライセンス料、書籍・資料代、打ち合わせにかかった交通費などを漏れなく経費に入れることで、課税対象となる所得を減らせます。特に自宅を仕事場として利用している場合、家賃や光熱費の一部を「家事按分」して計上できる点も重要です。

次に注目すべきは「青色申告」の活用です。正しく帳簿をつけて青色申告を行えば、最大65万円の特別控除が受けられるだけでなく、家族に支払う給与を経費として処理することも可能になります。

さらに、フリーランスや副業モデラーが利用できる節税制度として、小規模企業共済やiDeCoなどの積立型制度があります。これらは老後資金を準備しながら掛金が全額所得控除となるため、長期的に見ても大きな節税効果を発揮します。

また、売上が年間1,000万円を超えると消費税の課税事業者となりますが、インボイス制度導入後は免税事業者のままでは取引先から敬遠される可能性もあります。そのため、あえて課税事業者として登録し、仕入税額控除を活用する選択肢も検討に値します。

加えて、必要に応じて法人化を行えば、経費として認められる範囲が広がり、社会保険への加入によって将来の保障も手厚くなるといったメリットもあります。

このように、3Dモデラーが手取り収入を最大化するためには「経費管理」「青色申告」「控除制度の活用」「消費税や法人化の判断」といった複数の観点から総合的に考えることが必要です。

税金は複雑で自己判断が難しい面もありますが、仕組みを理解して早めに対策をとれば、同じ収入でも手取り額に大きな差が出ます。税理士に相談しながら制度を正しく活用すれば、安心してクリエイティブに集中できる環境を整えることができるでしょう。

まとめ

3Dモデラーの収入は、働き方やスキルによって大きく変動します。会社員として安定した給与を得る方法もあれば、フリーランスや副業で自由度の高い働き方を選ぶ道もあります。ただし、特にフリーランスや副業の場合には、確定申告や経費計上といった税務知識が欠かせません。経費の適切な管理や節税制度の活用によって、同じ収入でも手取りは大きく変わります。

税務の判断は複雑になることも多いため、クリエイター業界に詳しい税理士へ相談することで、安心して制作活動に集中できる環境を整えることができます。収入と税金の両面を意識し、自分に合った働き方を選択することが、長期的にキャリアを築くうえでの鍵となるでしょう。

田中貴久公認会計士事務所は3Dモデラーなどのクリエイターの税務に通じており、経費化や確定申告についての実績豊富です。お気軽にご相談ください。

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