「YouTubeで収益化できたけど、税金ってどうすればいいの?」「確定申告って聞いたことはあるけど、何から始めればいいか分からない…」そんな不安を抱えるYouTuberもたくさんいます。

そこで今回は、YouTuberの確定申告について詳しく解説します。本記事を読めば、確定申告が必要な人の条件、経費になるもの、申告の手順まで、ゼロから全体像の理解ができます。

YouTuberの確定申告、いくらから必要?

YouTuberが確定申告をするかどうかは、「どれだけ稼いだか」だけでなく、「働き方(専業か副業か)」によっても判断基準が異なります。しかも重要なのは「収入」ではなく「所得」、つまり収入から経費を差し引いた金額です。

専業YouTuberの場合

他に給与収入がなく、YouTuberとして独立して活動している場合は、基本的に「専業YouTuber」にあたります。この場合、確定申告が必要となるかどうかの判断基準は「年間の合計所得が95万円(基礎控除額)を超えるかどうか」です。なお、2024年までは基礎控除額は48万円であり古い書籍やインターネットでの情報の中には48万円とされている場合があるので注意しましょう。

また、専業で活動していると、国民健康保険や国民年金の加入義務も発生します。確定申告はそれらの保険料の算定にも影響しますので、正しく申告しておくことが非常に重要です。

副業YouTuberの場合

会社員やアルバイトなどで給与収入を得ながら、YouTuberとして副業的に活動している人は「副業YouTuber」にあたります。この場合の確定申告の必要性は、「YouTuberとしての所得が年間20万円を超えるかどうか」で判断されます。ここでも「収入」ではなく「所得」である点がポイントです。

たとえば、YouTubeの広告収入が30万円あり、動画編集に使ったソフトや備品の経費が10万円だったとします。この場合の所得は20万円です。ギリギリ20万円であれば申告不要とされますが、1円でも超えると確定申告が必要になります。

なお、会社員であっても、勤務先に副業がバレたくない場合は注意が必要です。住民税の納付方法を「普通徴収(自分で納付)」にしておかないと、会社に副業収入が通知される可能性があります。副業YouTuberは税金だけでなく、こうした実務的な配慮も必要です。

【経費】YouTuberの確定申告で経費にできるもの一覧

YouTuberの確定申告における経費の基本原則は、「動画制作・チャンネル運営に直接必要な支出であること」です。つまり、収益を得るために必要な支出であれば、基本的に経費として計上できます。

代表的な経費の例は以下の通りです。

撮影機材費:カメラ、マイク、照明、三脚、スマホスタンドなど。動画制作のために購入した機材は経費になります。

編集用PC・ソフト代:動画編集ソフト(AdobePremiere、FinalCutなど)のライセンス料や、編集用に使用するPCやモニターの購入費用。

備品・小道具費:動画企画に使うグッズ、衣装、装飾品、消耗品など。撮影用に購入したものであれば原則経費にできます。

通信費・サブスク代:自宅のインターネット回線費用の一部、クラウドストレージやBGM素材サイトなど、チャンネル運営に必要なサービスの利用料。

外注費・委託費:サムネイル制作、動画編集を外注した場合の支払い。個人に依頼する場合は源泉徴収が必要なケースもあります。

交通費・宿泊費:ロケ撮影のための移動費や宿泊費。動画撮影や取材など事業目的での出張であれば経費となります。

ただし、プライベートとの共用がある支出(たとえば自宅の通信費や家賃、光熱費など)は、事業で使用している割合(按分率)を根拠をもって設定し、その部分のみを経費計上する必要があります。また、領収書や請求書、クレジットカードの明細など、支出の証拠となる資料を必ず保管しておくことも重要です。税務調査の際に「本当に経費かどうか」を証明するための大切な資料になります。

経費の判断はグレーゾーンも多く、迷ったときは専門家に相談するのがベストです。自己判断で誤って経費計上してしまうと、後に追徴課税やペナルティが発生するリスクもあるため注意が必要です。

【やり方】YouTuberの確定申告、5つのステップ

はじめて確定申告をするYouTuberにとって、「何から始めればいいのか分からない」というのが正直なところでしょう。ここでは、YouTuberが確定申告を行う基本的な流れを5つのステップで整理します。

ステップ①:収入と経費の整理

まずは、1年間に得たすべての収入と、動画制作・チャンネル運営にかかった経費を集計します。Google AdSenseの入金履歴、企業案件の報酬明細、外注費の請求書などを漏れなく整理しましょう。

ステップ②:帳簿の作成

収入と経費をもとに帳簿を作成します。エクセルでの自作でも構いませんが、会計ソフト(freee、マネーフォワード、やよいの青色申告など)を使うと自動で仕訳やレポートが作成されるため、初心者にはおすすめです。

ステップ③:必要書類の準備

確定申告書の他に、源泉徴収票(会社員の場合)、マイナンバーカード、口座情報、領収書、請求書などをそろえます。青色申告をする場合は、事前に「青色申告承認申請書」を提出している必要があります。

ステップ④:申告書の作成と提出

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトを使って申告書を作成し、e-Tax(電子申告)または税務署への持参・郵送で提出します。提出期限は原則として翌年の3月15日です。

ステップ⑤:納税または還付の手続き

申告の結果、納税が必要な場合は期限までに納付します。逆に源泉徴収されすぎていた場合などは、還付金を受け取ることも可能です。

これらのステップを順に進めれば、初めての確定申告でも迷わず完了できます。早めに準備を始め、期限直前に慌てないよう計画的に取り組みましょう。

【ケーススタディ】年収700万円のYouTuberは誰に相談すべき?

YouTubeの収益が増え、年収が700万円に到達するようになると、確定申告は一層複雑になります。広告収入だけでなく、企業案件やグッズ販売、メンバーシップ収入など複数の収益源が絡み合い、その一つ一つを正確に記帳しなければなりません。このレベルに達した場合、誰に相談するのがベストなのでしょうか。

最新の会計ソフトを活用していれば、日々の仕訳や収支管理を自動化できるため、収入と経費の全体像を把握しやすくなります。ただし年収700万円規模になると、消費税や住民税、個人事業税の扱い、さらには法人化を検討するタイミングなど、戦略的な判断が必要です。ソフトだけではこれらの意思決定をサポートできません。

税務署や市区町村の相談窓口を利用する方法もあります。無料で一般的なアドバイスを受けられますが、YouTuber特有の経費や国際取引を伴う収入など、専門的な論点にまで対応できない可能性があります。

そこで、税理士に相談するのをおすすめします。税理士であれば青色申告を前提とした帳簿管理のアドバイスや、節税のための経費計上、将来的な法人化の判断までサポートしてもらえます。もっともYouTuber特有の会計処理についてすべての税理士が通じているわけではないので、この分野に強みを持つ税理士に相談することが欠かせません。創作活動に専念するためにも、早い段階で専門家の力を借りることが得策です。

まとめ

YouTuberの確定申告は、広告収入やスーパーチャット、メンバーシップ、企業案件など多様な収入源があり、経費の判断も特殊なため、一般的な副業やフリーランスより複雑です。専業・副業で申告基準が変わる点や、経費の範囲、申告のステップを理解しておかないと、申告漏れや過大な納税につながるリスクがあります。自己流では限界があり、税務調査や資金繰りに不安を残すことになります。そんなときは、YouTuberをはじめクリエイターに強い税理士に相談するのが最善です。

田中貴久公認会計士事務所はYouTuberなどクリエイターの税務に強い事務所なので、まずは気軽にご相談ください。

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