FANZAの売上レポートを見ていると「源泉徴収」が徴収されています。毎月の振込額が思ったより少ない、年末にいくら税金を納めればいいのか分からない、確定申告でお金は戻るのかなど、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

源泉徴収されているお金については、確定申告をすると還付金として取り戻すことができる場合があります。

そこで本記事では、FANZA特有の源泉徴収の仕組みから、確定申告で還付金を受け取るまでの手順について解説します。

【基本】FANZAの源泉徴収とは?なぜ税金が引かれるのか

源泉徴収とは、報酬を支払う会社があなたに代わって概算の所得税等を天引きし、国へ前払いする制度です。ここではFANZAを運営している株式会社デジタルコマースが徴収し国に支払うものです。

源泉徴収は所得税を確実に国に納めてもらうための方法であると説明されています。源泉徴収というと会社に勤めている人であれば年末調整とセットで聞いたことがある方も多いかと思いますが、自営業・副業で収入を得る場合にも行われるので注意しましょう。

源泉徴収では所得税として納税するものを概算で差し引きます。月ごとの支払額に法律で定められた算式を機械的に当てはめるだけで、あなた固有の事情(機材・ソフト・通信費・外注費などの必要経費、基礎控除や社会保険料控除、青色申告特別控除、扶養の有無等)は一切考慮されません。

そこで、年末(翌年)に行う確定申告で1年分の「売上総額(手数料控除前)」「必要経費」「各種控除」を反映させ、最終税額とすでに天引きされた源泉徴収税額を突き合わせて精算する流れが必須です。

また、同じFANZA内でも報酬の性質により取扱いが変わることがあります。例として、デジタル商品の販売代金、出演・制作の対価、紹介・成果報酬(アフィリエイト)などで、支払区分や明細の記載欄が異なるケースがあり、源泉徴収の有無や計算基礎も変わることがあります。

源泉徴収はあくまで前払いの仮精算であり、最終的な納税額は確定申告によって行われます。多くのケースでトータルで見ると、源泉徴収の方が多すぎた(=払い過ぎ)場合があり、その場合には還付してもらえます。一方で足りない場合には追加で支払う必要があります。

確定申告で源泉徴収された税金は戻ってくる可能性が高い

確定申告では、1年間の売上総額(プラットフォーム手数料控除前の金額)を計上し、そこから必要経費を差し引き、さらに各種控除を適用して課税所得を確定します。

源泉徴収はこれらを一切織り込まずに一定の算式で天引きしているため、創作活動の実態(経費や控除)が大きい人ほど「払い過ぎ」になりやすく、還付が生じる可能性が高まります。

とりわけ、開業初年度や機材・ソフト・外注の投資が大きい年、青色申告(複式帳簿+電子申告等の要件)で青色申告特別控除を適用できる年は、還付額が増えやすい代表例です。

一方で、必ず戻るとは限りません。年間の利益(売上-経費)が大きく、他の所得(給与や不動産等)と合算して税率帯が上がる場合や、経費がほとんど計上できない場合、そもそも源泉徴収が実施されていない支払いばかりの場合は、還付が出にくい・追納になることもあります。

結論として、売上総額・必要経費・控除を正しく集計し、源泉徴収税額を確実に申告へ反映させれば、払い過ぎ分は自動で戻ります。逆に、集計の漏れ(売上の取扱い誤り、手数料を売上から差し引いた後額で計上する等)や、源泉徴収税額の未入力があると、還付してもらえなくなります。

なお、還付は所得税に関する精算であり、住民税や国民健康保険料は翌年度の所得(住民税は前年所得)を基に別途計算されるため、「所得税では還付でも、住民税や国保が下がるか」は別問題です。

還付金を受け取るための確定申告のやり方

還付金を受け取るための確定申告のやり方を確認しましょう。次の3つが重要なポイントです。

①支払調書や明細で「支払総額・手数料・源泉徴収税額」を年次集計
②申告書で事業(または雑)所得を作成し源泉徴収税額を入力
③売上は総額で、手数料は経費で処理

以下詳しい内容を見てみましょう。

支払調書(または売上レポート)を準備

FANZAでは、翌年の支払調書(その年の支払額・源泉徴収税額の合計)は毎年1月末までにダウンロードできます。税務署への支払調書提出にあたり、個人サークルの場合はマイナンバーの登録が必要です。

公開前や仕様上すぐ取得できない期間は、月次の売上レポートや振込明細を保存し、「支払総額」「手数料」「差引支払額」「源泉徴収税額」を拾い出して表計算ソフトなどを用いて年次集計表を作成しておきましょう。

支払調書が取得できたら、月次合計→年次合計の二段階で金額を突合し、差異があれば手数料、返品・キャンセル、売上計上月と振込月のズレを確認します。

e-Taxでは支払調書の原本添付が省略できても保存義務は残るため、PDF等で整理し、ファイル名に「年月_種別」を付けて保管しておくと照会対応がスムーズです。

確定申告書に源泉徴収税額を記入

国税庁の申告書作成コーナー等で事業(または雑)所得を作成します。収入金額等には「手数料控除前の売上総額」を入力し、必要経費として手数料・外注費・機材費・通信費等を計上します。

次に「源泉徴収税額」欄へ、支払調書や年間集計表で把握した合計額を正確に入力してください。ここを空欄にすると、実際には天引きされている税金が存在しないものとして扱われ、還付を受けられなくなります。

入力後は、調書の名称・支払者名・金額が申告内容と整合しているか、プレビューで桁ミスがないかを必ず確認しましょう。e-Taxで送信する場合は原則として調書の添付省略が可能ですが、保存義務は残ります。送信後に誤りに気づいたら、更正の請求(還付を増やしたいとき)または修正申告(不足分を納めるとき)でフォローできます。

売上と経費を正しく計上

売上は「総額主義」で処理します。

よくある誤りとして、FANZAから入金される額を売上として計上するものですが、これではどのくらいの手数料がかかっているのかを把握できず、税務署より指摘される可能性が否定できません。

FANZAからの入金についての正しくは、プラットフォーム手数料や源泉徴収で差し引かれる前の金額を売上に計上し、手数料は「支払手数料」等の科目で経費に計上します(源泉徴収は税金の前払いであって売上ではありません)。

経費は、外注費(編集・デザイン・翻訳等)、消耗品費(小物機材・備品)、減価償却費(高額機材)、通信費(回線・クラウド・サブスク)、旅費交通費、地代家賃(作業スペースの按分)など、業務関連性を説明できる範囲で整理します。レシート・請求書・支払明細に加え、「何のために使ったか」を短文メモで残しておくと、税務署に説明が必要になった際に役に立ちます。

複数のプラットフォームを併用している場合は、媒体別の売上台帳を用意し、最終的に合算して申告します。青色申告の65万円控除を受けたい場合には、複式帳簿での記帳と電子申告等の要件を事前に満たしておきましょう。

FANZAアフィリエイトの収入も確定申告が必要

FANZA(DMM)アフィリエイトの報酬も課税対象で、創作販売の売上とあわせて申告します。事業として継続・反復していれば「事業所得」、小規模・副業的なら「雑所得」に区分し、いずれも「総収入(手数料控除前)」と「必要経費」を年次で集計します。

運用上、アフィリエイト報酬に源泉徴収が行われ、翌年に支払調書が発行される場合があります。そのときは、創作販売分の支払調書と合わせて「源泉徴収税額」を合算入力してください。管理画面の月次明細・振込通知はPDFや画像で保存し、媒体別(販売/アフィリエイト)に台帳を分け、最終的に合算して申告します。

所得区分に迷う、源泉徴収の有無が期間で違うなどケースバイケースの論点は、証憑(証拠となる書類)をそろえたうえで確定申告書の整合を取り、必要に応じて専門家へ確認しましょう。

まとめ

FANZAの源泉徴収は「前払いの仮精算」です。1年分の売上(手数料控除前の総額)と経費、各種控除を反映して確定申告し、事業(または雑)所得の画面で源泉徴収税額を漏れなく入力すれば、過不足は自動で清算されます。

FANZA本体の売上に加え、アフィリエイト報酬に源泉徴収がかかっている場合は支払調書や明細で金額を突き合わせ、源泉徴収税額を合算して記載してください。

入力場所や手順に不安がある場合は、税理士に相談することをおすすめします。

クリエイターに関する会計・税務においてはFANZAのように収益の計上が複雑なプラットフォームがあったり、経費となる項目に特徴があったりします。FANZAをはじめとしたクリエイターである場合、相談はクリエイターに強い税理士にすることが重要です。

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