フリーランスとして活動を続ける中で、収入が増えてくると「確定申告を自分でできるのか」「税金の計算を間違えていないか」と不安に思う方は少なくありません。

特に経費の取り扱いや節税の方法は複雑で、誤った処理をすると余計な税金を支払うことになったり、ペナルティにつながったりします。

そのようなときに頼りになるのが税理士です。税理士に依頼することで、手間を減らし、専門的なサポートを受けながら安心して事業を成長させることができます。

そこで本記事では、フリーランスが税理士に相談するメリットや費用相場、さらに選び方のポイントをわかりやすく解説します。

フリーランスが税理士に相談する3つのメリット

フリーランスが税理士に相談するメリットとして次の3つが挙げられます。

・複雑な税務処理から解放され本業に集中できる
・節税や経営に関するアドバイスを受けられる
・税務署対応を代行してくれる

それぞれ詳しく見てみましょう。

複雑な税務処理から解放され本業に集中できる

税理士に依頼するメリットの1つとして、複雑な税務処理から解放され、本業に集中できる時間を確保できることが挙げられます。確定申告や帳簿付けは毎年必ず発生し、多くの時間と労力を要します。これを専門家に任せることで、余計なストレスを抱えずに本業やスキルアップに注力できる環境が整います。

節税や経営に関するアドバイスを受けられる

税理士に依頼するメリットとして挙げられるのが、節税につながるアドバイスを受けられる点です。例えば、どこまでが経費として認められるのか、青色申告を利用した65万円控除をどう活用するか、将来に向けて小規模企業共済やiDeCoなどを組み合わせることで節税しながら老後資金を積み立てる方法など、個人では判断が難しいポイントを具体的に提案してもらえます。

また、税務だけではなく、経営に関するアドバイスを受けることもできます。資金繰りの改善方法、融資の際に必要な事業計画の作成支援、法人化すべきタイミングなど、長期的な視点からアドバイスを受けられるのは大きなメリットです。フリーランスにとって税理士は、税金の処理を任せるだけでなく、経営の伴走者として事業の安定を支えてくれる存在です。

税務署対応を代行してくれる

税務署対応を代行してくれることも税理士に依頼するメリットとして挙げられます。万が一、申告内容に関して税務署から問い合わせや調査が入った場合でも、税理士が代理人として立ち会い、やり取りを進めてくれるため、心理的な負担を大幅に軽減できます。

【費用】フリーランスが税理士に依頼する場合の料金相場

税理士に依頼する際に気になるのが費用です。料金体系は大きく分けて、確定申告の時期だけ依頼する「スポット契約」と、日常的にサポートを受ける「顧問契約」があります。

スポット契約は費用を抑えられますが、日常的な相談や節税対策には向いていません。一方で顧問契約は月額制で、経理や記帳代行、節税アドバイス、税務調査対応まで幅広くカバーしており、コストはかかるものの安心感が大きいのが特徴です。

自分の事業規模やサポートの必要度を踏まえて、適切な契約形態を選ぶことが重要です。以下、それぞれの契約の特徴を見てみましょう。

スポット契約(確定申告のみ)の費用相場

スポット契約は、年に一度の確定申告シーズンだけ税理士に依頼する方法です。費用相場は5万円〜10万円程度が一般的で、所得額や経費の複雑さによって変動します。

白色申告か青色申告かによって必要な作業量も異なり、青色申告の場合は帳簿の正確さが求められるため、依頼費用が高めになる傾向があります。

また、クラウド会計ソフトを自分で活用し、帳簿や仕訳が整っている場合は費用を抑えられますが、領収書の整理や記帳作業から任せる場合は追加料金が発生します。

フリーランスをはじめたばかりの人や、普段は自分で経理を行っているが申告時期だけ専門家のサポートが欲しい人に向いた契約形態です。

顧問契約の費用相場

顧問契約は、毎月定額で税理士と継続的に契約する方法です。相場は月額1万円〜3万円が多く、年間で15万円〜40万円程度が目安となります。

契約内容によっては記帳代行や給与計算、経営相談まで含まれることもあり、サービスの範囲が広がるほど料金は高額になります。

顧問契約の大きなメリットは、日常的に発生する税務の疑問や経費の扱いについて気軽に相談できる点です。例えば「この支出は経費になるのか」「消費税の課税事業者になるべきか」といった日常的な疑問に都度アドバイスをもらえるため、安心感があります。

さらに、将来的に法人化を検討しているフリーランスにとっては、スムーズな会社設立のサポートや、資金調達のための事業計画作成支援など、長期的な経営を見据えた相談ができるのも強みです。税務調査が入った際の対応も含まれることが多く、安心して事業を拡大していく基盤を築くことができます。

【選び方】フリーランスにおすすめの税理士

税理士を選ぶ際に最も大切なのは、自分の事業や業種に合った専門性を持っているかどうかです。

フリーランスといっても、エンジニア、デザイナー、ライター、動画クリエイターなど職種によって収入形態や経費の範囲は大きく異なります。そのため、業界に精通した税理士を選ぶことで、最適な節税提案や実務に即したアドバイスを受けられます。

また、税理士は長く付き合う存在になるため、信頼関係を築けるかどうか、相談のしやすさやレスポンスの速さも重視すべきです。料金体系が明確であること、オンラインや電話相談の対応力、緊急時のサポート体制なども比較ポイントとなります。

さらに、自分の活動スタイルに合わせて「特化型」「地域密着型」「オンライン型」といった事務所の特徴を把握して選ぶことが、安心して任せられる税理士を見つける近道です。

IT・クリエイターなどに強い「特化型税理士」

特化型税理士は、フリーランスエンジニアやデザイナー、YouTuber、ライター、音楽家など特定の業種に専門性を持つ点が強みです。業界ごとに収入の流れや経費の認められ方は異なるため、一般的な税理士では見落としがちなポイントも、特化型なら適切に判断してくれます。

例えば動画クリエイターの場合、カメラや編集ソフトの費用、ロケの交通費、さらには配信用の防音設備などがどこまで経費に計上できるか、実務に即したアドバイスをもらえます。

また、同業種の顧客を多く持つため、税制改正の影響や業界の収益傾向について最新の情報を得られるのも大きなメリットです。将来的な法人化や海外案件への対応など、業界特有の課題に直面したときも心強いパートナーとなります。

地元の「地域密着型税理士」

地域密着型税理士は、地元で長年開業しており、対面での丁寧な対応を得意とする事務所が多いのが特徴です。

地域の商習慣や地元金融機関とのつながりに詳しく、事業資金の融資や補助金の申請といった実務でも有利に働く場合があります。

特にフリーランスといっても、活動拠点が特定の地域に集中している方にとっては、地元の状況を理解している税理士は頼れる存在です。例えば「商工会議所と連携した支援制度の活用」や「地域特有の補助金情報」など、地元だからこそ得られる情報を提供してもらえるのもメリットです。

さらに、直接会って相談できる安心感は大きく、税理士に初めて依頼する人や、オンラインだけでは不安を感じる人におすすめのスタイルです。

オンライン完結の税理士

オンライン完結型の税理士事務所は、全国対応で場所を問わず相談できるのが魅力です。チャットやビデオ会議、クラウド会計ソフトを活用するため、資料のやり取りや打ち合わせがスムーズで、移動の負担がありません。料金も比較的リーズナブルに設定されていることが多く、スポット契約やシンプルな顧問契約を選べる柔軟さもあります。

多忙なフリーランスや全国を移動しながら働くノマドワーカーにとっては非常に便利です。また、オンラインならではのスピーディーなレスポンスも大きな利点で、相談内容をすぐに確認してもらえるため安心感があります。

直接顔を合わせない点に不安を感じる人もいますが、対応の速さと効率性を重視する人には最適な選択肢といえるでしょう。

まとめ

フリーランスにとって税理士は、単に確定申告を代行してくれる存在ではなく、税務の不安を解消し、事業の成長をサポートしてくれる重要なパートナーです。

料金はスポット契約と顧問契約で大きく異なりますが、自分の事業規模や相談したい内容に合わせて選択することが大切です。また、ITやクリエイター分野に強い特化型税理士、地域事情に詳しい地域密着型税理士、効率重視のオンライン完結型税理士など、スタイルにもさまざまな特徴があります。

本記事で紹介した選び方を参考に、自分の働き方や将来像に合った税理士を見つけることで、確定申告の不安を取り除き、より安心して本業に集中できる環境を整えましょう。

田中貴久公認会計士事務所では、クリエイターをはじめとしたフリーランスの税務や会計に強みを持っているので、お気軽にご相談ください。

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