
「青色申告で出すつもりだったのに、間違えて白色申告の用紙で出してしまった…」「記帳が間に合わず、白色申告にしてしまったけどよかったのか」、青色申告の承認を受けたのに白色申告をしてしまった場合、後から不安に襲われることもあるでしょう。
白色申告してしまった後でも、青色申告で再提出することはできます。
ケース毎に手順が異なるため、それぞれこの記事で解説します。
また、白色申告にした場合のデメリットについて紹介し、併せて確実に青色申告をするための対処方法についても解説します。
青色申告の承認を受けているのに白色で申告するとどうなる?
青色申告の承認を受けている場合でも、白色申告をすることは禁止されていません。
所得税法第143条によると、青色申告の承認を受けた場合に青色の申告書により提出することができる、とあり「できる」規定のため青色申告は義務ではありません。
そのため、青色申告の承認を受けていても白色申告をすることができます。
ただし、この場合に青色申告特別控除は受けられず、基本的に税額が上がります。
白色申告をした場合でも、青色申告の承認は自動では取り消されません。
もし、青色申告の承認を取り消したい場合は「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を提出する必要があります。
【ケース別】間違えて白色申告してしまった場合の対処法
青色申告をするつもりが、間違えて白色申告をしてしまった場合の対処法について、ケース別に解説します。
① 提出前:青色申告が可能
確定申告の提出期限内であり、まだ提出していない段階であれば青色申告による申告書および青色申告決算書を作成し直して提出しましょう。
作成し直す際は、白色申告のデータから青色申告用の申告書に転記できる部分が多いため、白色申告の書類は破棄しないようにしましょう。
② 提出後(期限内):訂正申告が可能
間違えて白色申告で提出してしまった後でも、確定申告期限内であれば青色申告による申告書および青色申告決算書を再度提出すれば、青色申告をしたものとして取り扱われます。
e-Taxで再提出した場合でも、訂正したデータを送信した旨を税務署に連絡する必要はありません。
③ 提出後(期限後):更正の請求または修正申告
確定申告期限後に白色申告したことに気づき、青色申告で提出したい場合は「更正の請求」または「修正申告」により青色申告決算書を添付して申告書を提出する必要があります。
更正の請求とは実際の税額より多く税額を申告した場合にするもので、納めすぎた税金の還付を受けられます。
修正申告は実際の税額より少ない税額を申告した場合にするものです。
ただし、青色申告の55万円または65万円控除は申告期限内の提出が条件となっているため、期限後に青色申告決算書等を提出した場合は10万円の控除となります。
この場合でも青色申告による他のメリットを受けられるため、青色申告決算書等を提出する方がいいでしょう。
知っておきたい!白色申告にしてしまう4つのデメリット
青色申告を予定していたが、白色申告にしてしまった場合のデメリットを4つ紹介します。
最大65万円の特別控除が受けられない
白色申告をすると、最大65万円の青色申告特別控除が受けられず、所得税が高くなります。
また、住民税や国民健康保険料についても青色申告特別控除反映後の所得をもとに計算されるため、白色申告にするとそれらの金額も上がってしまいます。
赤字の繰り越し(純損失の繰越控除)ができない
青色申告をした場合、赤字が出ているのであればその損失を繰り越し、翌年以後3年間に出た利益と相殺できます。
相殺することにより所得が減り、税金が下がるメリットがあります。
白色申告にした場合は損失の繰り越しができません。
また、前年以前の損失を繰り越すには毎年青色申告をする必要があるため、白色申告をしてしまうとその年以降の所得と相殺できなくなります。
なお、損失の繰り越しをする際は青色申告決算書の添付に加え、損失の内容を明確に記載し「第四表(損失申告用)」の申告書で確定申告をする必要があります。
30万円未満の資産を一括経費化できない
PCなど、単価10万円超の資産を購入した場合、全額を購入した年の経費とすることはできません。
この場合、「減価償却」の計算を行い、数年に渡り経費にしていきます。
ただし、青色申告をしている場合は単価30万円未満の資産を購入した年の経費として、一括計上できます。
青色申告をしない場合はこの制度は使えないため、単価10万円超の資産は原則通り、減価償却により数年間で一部ずつ経費にする必要があります。
税額計算を間違えてしまい追徴課税が発生するリスクがある
青色申告のつもりで計算を行い、白色申告で申請してしまった場合、税額を少なく申告したことによる追徴課税が発生するリスクがあります。
最大65万円の控除、前年の赤字と利益の相殺、30万円未満の資産の一括経費など、青色申告でないと適用できない控除制度が複数あります。
青色申告の場合と同じ感覚で処理をしてしまうと、白色申告では使えない控除を誤って適用してしまい、結果的に税額を少なく計算してしまうことにつながります。
本来の税額よりも少ない額で申告・納付をすると過少申告加算税が発生する場合があります。
さらに、納めていない税額部分に対して、納付期限の翌日から完納までの日数分の延滞税がかかります。
このため、間違えて白色申告をしてしまった場合はできるだけ早く青色申告をし直すようにしましょう。
青色申告と白色申告について、さらに知りたい方は、こちら「青色申告は難しくない!白色申告との違いから最大65万円控除のメリットまで徹底解説」の記事もチェックしてみてください。
次こそ失敗しないために!忙しいクリエイター向けの解決策
間違えて白色申告をしてしまった、あるいは青色申告できなかったなどの失敗を繰り返さないよう、解決策を紹介します。
会計ソフトの導入
青色申告をするためには会計ソフトの導入をおすすめします。
会計ソフトでは設定で白色申告か青色申告かを選べるため、その設定を間違えなければ誤って白色申告をしてしまうリスクは避けられます。
青色申告で55万円あるいは65万円の控除を受ける場合、複式簿記など正規の簿記の原則により帳簿を作成し保管する必要があります。
会計についてあまり知識がなくても、会計ソフトを使えば自力で複式簿記による記帳は十分可能です。
さらに、クラウド型の会計ソフト等の中には銀行口座・クレジットカードと連携することで、自動で複式簿記による記帳をしてくれるソフトもあります。
連携機能を使用することで、青色申告による記帳の手間を大幅に減らせます。
会計ソフトの料金は、クラウド型の場合だと基本的に毎年利用料を支払うプランとなり、年額で5,000円〜20,000円ほどです。
定期的な帳簿付け
青色申告をする場合、帳簿の作成および保管が必要となります。
確定申告期限ぎりぎりで一気に帳簿付けをしようとすると大変な労力がかかり、売上や経費の計上忘れが起きやすくなります。
そのため、月に一度はまとめて帳簿付けをするなど、定期的に帳簿付けをするようにしましょう。
毎月の帳簿の付け方として、個人事業主であれば上場企業がするような厳密な帳簿付けは求められていません。
基本的に毎月帳簿付けをするけれど、減価償却費に関しては年末にまとめて行うなど、帳簿付けをある程度省力化してしまっても問題はないでしょう。
税理士にお願いする
青色申告を確実にする場合、税理士に依頼するのが一番確実です。
これから新しく青色申告をする場合、あるいは青色申告をやめたい場合の手続きも任せてしまえます。
税理士に依頼する場合は費用がかかりますが、制作に集中したいクリエイターにとっては確定申告のことをあまり考えずに済むため、コストパフォーマンスを考えると十分にもとは取れるでしょう。
税理士に依頼する際の費用相場は、業務範囲や事業規模、仕訳数に応じて異なります。
また、毎月の記帳も依頼するのであれば、月額顧問料がかかり、決算の際は別途決算報酬費用がかかります。
毎月の記帳を任せた場合、月額10,000円からが一つの目安となるでしょう。
決算費用は売上500万円以上1,000万円未満であれば、10万円からが目安となります。
あくまで目安のため、詳細は税理士に相談しましょう。
まとめ

青色申告の承認を受けたのに、間違えて白色申告をしてしまった場合、ケースによって処理が異なります。
確定申告の期限内か期限後かで処理が大きく異なり、特に期限後の場合は青色申告の55万円・65万円の特別控除が受けられないなど税金額に影響があります。
また、青色申告でしか適用できない控除制度を白色申告で適用していると、税額を間違えて計算してしまい追徴課税となるリスクがあります。
青色申告を確実にできるよう、会計ソフトの導入や定期的な帳簿付け、税理士へ依頼することを考えましょう。
税理士に依頼する場合、自身の事業に関する確定申告経験が豊富な税理士に頼むと、経費計上や税金対策のアドバイスも受けやすくなります。
田中貴久公認会計士は、クリエイターの確定申告や税務相談に関して豊富な実績があります。税金に関するお悩みは、お気軽にご相談ください。
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