
インスタのフォロワーが増えると、企業のPR案件やアフィリエイトで収入を得られるようになります。そのため、一定の基準を超えると確定申告が必要です。
そこで本記事では、インスタの収入についての確定申告が必要かどうかの基準、経費の計上や会社に副業を知られにくくするコツなどについて解説します。
インスタの収入はいくらから確定申告が必要?【立場別の基準】
確定申告の要否は、専業か副業かによっても異なります。
副業(会社員・パート・アルバイト)の場合
本業の勤務先で年末調整を受けた給与所得者は、給与・退職所得以外の所得が年間20万円を超えると、所得税の確定申告が必要です。
この年間20万円の基準はインスタの収入だけでなく、ほかの副業所得も合算します。
たとえば、インスタ収入15万円、動画編集の収入が20万円、必要経費が10万円かかったなら所得は25万円となり、申告が必要です。なお、医療費控除などのために確定申告をする場合は、副業所得が20万円以下でも申告書に含めます。
専業(主婦・学生・フリーランス)の場合
給与所得がなく、インスタを含む合計所得金額が95万円以下で、ほかに申告が必要となる事情がなければ、原則として所得税の確定申告は不要です。
2025年分以降、合計所得金額132万円以下の人の基礎控除は95万円であり、合計所得金額が95万円を超えると確定申告をしなければなりません。
ただし、他の所得がある場合は合算が必要です。配偶者控除・扶養控除、住民税、社会保険の扶養判定は別基準であり、報酬から源泉徴収されている場合は、申告義務がなくても還付を受けられることがあります。
収入ではなく所得(利益)で判断する
確定申告の基準は、口座に振り込まれた収入額ではなく、収入から必要経費を差し引いた所得です。
所得 = 収入 - 必要経費
年間収入が30万円でも、撮影機材や編集アプリなどの必要経費が12万円なら所得は18万円です。この場合、年末調整済みの会社員で、ほかに給与以外の所得がなければ20万円基準を超えません。売上と経費を分け、年単位で必ず集計し、経費の証拠と計算過程も保存しましょう。
所得税は不要でも「住民税」の申告は1円から必要
所得税の「副業所得20万円以下なら確定申告不要」というルールは、住民税にはありません。所得税の確定申告をしない場合でも、給与以外の所得があれば、原則、住所地の市区町村へ住民税申告を行います。
所得税の確定申告をした場合、住民税申告は通常不要です。自治体により申告不要となる条件や提出方法が異なるため、住所地の自治体に確認しましょう。
インスタグラマーが税務署からチェックされる「インスタ収入」4パターン
インスタグラマーが税務署からチェックされる収入の4つのパターンを知っておきましょう。
① 企業案件・タイアップ報酬
企業案件・タイアップ報酬は税務署がチェックするインスタ収入の一つです。
企業の指定するハッシュタグや商品情報を付けて投稿し、対価として受け取る報酬です。企業からの直接入金だけでなく、広告代理店やキャスティング会社を経由する報酬も売上に含めます。支払調書が届かなくても申告対象になるため、契約書、請求書、入金履歴を保存しましょう。
報酬から源泉所得税が引かれた場合は、手取り額ではなく税引前の報酬を売上にし、源泉徴収税額を申告書へ入力します。商品提供を併用した案件も記録が必要です。
② アフィリエイト報酬(成果報酬型広告)
ストーリーズやプロフィールのリンク、楽天ROOM、A8.netなどを経由して商品が購入され、成果に応じて発生するアフィリエイト報酬も税務署のチェックの対象となります。
各サービスの確定報酬画面や振込明細を基に集計します。
複数のASPを使う場合は、サービス別の年間報酬一覧を作ると計上漏れを防げます。口座へ出金していない報酬でも、年内に報酬が確定していれば売上となる場合があります。現金以外のポイントや商品券で受け取った報酬も必ず確認しましょう。
③ Instagram公式からの収益(ボーナス・投げ銭など)
Instagramから支払われるボーナス、リールへのギフト、ライブ配信のバッジなどの収入も税務署のチェックの対象です。
手数料が差し引かれる場合は、原則として手数料控除前の金額を売上、差し引かれた手数料を経費として処理します。利用できる収益化機能は、アカウント、地域、時期により異なります。
支払管理画面を保存し、外貨で支払われた場合は円換算額も記録します。複数の公式機能を利用しているときは、機能別に年間収益を集計しましょう。
④ 【見落とし厳禁】ギフティング
投稿や紹介の対価として無償提供されたコスメ、洋服、家電、宿泊、旅行などは、現金を受け取っていないギフティングと呼ばれるものです。
こちらは現金を受け取っていなくても、金銭以外の経済的利益として収入に含まれる可能性があるため注意が必要です。
受領時の通常販売価格など合理的な時価で売上計上し、商品名、受領日、提供企業、時価、投稿URLを記録しましょう。
撮影後に返却する貸与品や、投稿義務のない試供品は扱いが異なります。
インスタ活動で「必要経費」にできるもの・できないもの
必要経費にできるのは、収入を得るために必要で、業務との関係を説明できる支出です。投稿に使っただけで私生活上の支出が経費になるわけではありません。
経費として認められる主な項目
代表的な項目と実務上の注意点は次のとおりです。
| 項目 | 具体例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 機材費 | スマホ、カメラ、三脚、照明、編集用PC | 高額な機材は減価償却が必要な場合がある |
| 通信費 | ネット回線、スマホ通信料 | 私用分を除き業務使用割合のみ計上 |
| 旅費交通費 | 撮影・打ち合わせの交通費、宿泊費 | 日時、場所、案件名、目的を記録 |
| 広告宣伝費 | 投稿やアカウントのプロモーション費 | 広告管理画面や決済明細を保存 |
| 外注費 | カメラマン、画像・動画編集の依頼料 | 請求書、振込記録、依頼内容を保存 |
| ソフト代 | 編集アプリ、画像素材、クラウド保存 | 業務専用か按分が必要か確認 |
購入目的や案件名もメモしておきましょう。
経費にするのが難しい・注意が必要な項目
コスメ、洋服、美容院代、ネイル代などは日常生活にも使えるため、原則として家事費と判断されやすい支出です。
撮影だけで使用し、普段は使わないことを客観的に示せる場合は経費となる余地がありますが、投稿に一度映しただけで全額を計上するのは適切ではありません。
日常の食事代やプライベート旅行も通常の生活費です。飲食店のPR案件や企業指定の撮影旅行など、収入との直接的な関係を契約書、依頼メール、投稿履歴で説明できる部分に限り検討します。
撮影後も私生活で使う衣服や化粧品は、全額ではなく業務使用分だけを按分できるか検討し、使用状況を記録します。家族分の飲食費や同行者の旅行費など、案件と無関係な部分は除外しましょう。
プライベートと分ける「家事按分(かじあんぶん)」の考え方
スマホ代、通信費、自宅家賃など、仕事と私生活の両方に使う支出は、合理的な基準で業務分を分けます。
スマホ代は業務使用時間、自宅家賃は撮影・編集スペースの床面積などで計算します。
按分割合の計算式と根拠資料を残し、毎年一貫した基準を使うことが重要です。割合は税務署へ説明できる客観的な水準にします。会計ソフトの家事按分機能を利用すれば、年末に業務割合をまとめて反映できます。
インスタ収入を確定申告する4つのステップ
インスタ収入を確定申告するための4つのステップを確認しましょう。
ステップ1:1年間の「収入」と「経費」の証拠を集めて集計
まず1年間の収入と経費の証拠を集めて、集計します。
1月1日から12月31日までの銀行入金、ASPやInstagramの報酬画面、ギフティング商品の時価を集計します。経費は領収書、レシート、カード明細、請求書を保存し、どの投稿や案件に使ったかをメモします。
ギフティングや撮影用商品は、投稿画面のスクリーンショット、投稿URL、企業とのDMや依頼メールも残しましょう。会計ソフトへ必ず月ごとに入力し、年末に入金額と売上残高を照合すると漏れを防げます。
ステップ2:必要な書類を準備
確定申告に必要な書類を用意しましょう。
副業会社員は本業の源泉徴収票を準備します。
あわせて、マイナンバーカード、控除証明書、報酬の支払明細、売上・経費の集計表を用意します。事業所得なら青色申告決算書または収支内訳書、雑所得でも収支の内訳資料が必要です。
e-Taxを利用する場合は、マイナンバーカードの署名用・利用者証明用電子証明書の暗証番号も確認します。還付を受ける場合は本人名義の振込口座、医療費控除や寄附金控除を申告する場合は各明細や証明書も準備しましょう。
ステップ3:確定申告書を作成
次に確定申告書を作成します。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」やfreee、マネーフォワードなどの会計ソフトを使えば、スマホやパソコンで作成できます。口座やカードを連携して日々記帳すると効率的です。
会社に副業を知られにくくしたい場合は、「住民税に関する事項」で給与・公的年金等以外の所得の住民税を「自分で納付」にします。ただし、自治体の運用により希望どおりにならない場合があり、副業が知られないことを保証する方法ではありません。
ステップ4:期日(2月16日〜3月15日)までに提出・納税
最後に確定申告の期日までに確定申告書を提出し、納税します。
所得税の確定申告期間は、原則、翌年2月16日から3月15日までです。期限が土日祝日に当たる場合は翌平日となります。e-Taxなら、自宅から申告データを送信できます。
納税方法には、振替納税、インターネットバンキング、クレジットカード、スマホアプリ納付、コンビニ納付などがあります。申告書の提出だけでなく、原則として申告期限までに納税も済ませましょう。期限後は延滞税などが生じる場合があります。
まとめ

インスタでの収入は、副業なら「年間所得20万円超」、専業なら「年間所得95万円超」が確定申告の一つの目安です。
現金だけでなく、ギフティングなどの経済的利益も見落とさずに記録しておくことが大切です。
後から慌てないためにも、日頃から売上と経費のバランスを意識し、こまめな収支管理を心がけてみてくださいね。
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