「会社で働きながら個人事業主としてクリエイター活動をしたい」と考えているクリエイターの方もいるでしょう。

この記事では、そもそも掛け持ちは可能なのか、掛け持ちのメリット・デメリットについて解説します。

会社勤めをしながら個人でクリエイター活動もしたい方は、ぜひご一読ください。

会社に所属しながら個人事業主になることはできる?

会社に所属しながら個人事業主になることはできるのか、解説します。

結論、法律上の問題はなし

公務員を除き、民間企業の会社員が個人事業主(副業)になることを禁止する法律はありません。
公務員の場合、国家公務員法や地方公務員法により副業が規制されているため、公務員として働きながら個人事業主にはなれません。

個人事業主となる場合は、税務署に「開業届」を提出しましょう。
そのほか、事業の一環としてせどりなどの中古品販売をする場合には、警察署に申請して「古物商許可」の取得が必要など、事業によっては許可を取る必要があります。

自身が行おうとしている事業に必要な許可がないか、事前に確認をしましょう。

「会社の就業規則」の確認は必須

会社が就業規則などにより副業を禁止している場合、会社に発覚すると懲戒対象となるリスクがあります。

そのため、事前に副業をしていいか就業規則を確認しましょう。

クリエイターが会社員と個人事業主を「掛け持ち」する5つのメリット

クリエイターが会社員と個人事業主を掛け持ちするメリットを、5つ解説します。

会社員と個人事業主を掛け持ちする場合、会社の業務時間外に自身の事業を行わなければならないため負担が大きいですが、特有のメリットも存在します。

リスクを抑えて独立・起業の準備ができる

会社員として毎月の給与を得ながら、個人事業主としてクリエイター業の顧客を獲得していけます。
順調に顧客を獲得し、クリエイター業の収入が十分に得られるようになったタイミングで独立すれば、独立直後に収入が不安定になるリスクを抑えられます。

個人でクリエイターの仕事を十分に確保できないまま独立してしまうと、安定して稼げるようになる前に手元資金が尽きてしまうリスクがあります。
一方で、会社員としての給与を得ながら個人事業主として働けば、資金が尽きるリスクはありません。

会社員として働きながら個人事業主となれば、独立前に顧客獲得の営業や、経理・税務の経験を積んでおけるため、いざ独立してもスムーズにスタートできます。

クリエイティブな制作環境の費用を経費にできる

掛け持ちする場合というよりも個人事業主のメリットとなりますが、クリエイター活動の費用は確定申告の際に経費として計上できます。

個人事業主は翌年の3月15日までに、所得税の確定申告をする必要があります。
所得税の計算は、自身の収入から経費を引いた残りである「所得」に税率をかけて算定します。
つまり、経費を計上すれば、それだけ税金が抑えられます。

ただし、経費に計上できるのはあくまで事業に関連した費用のみであり、プライベートな支出は経費計上できないため注意しましょう。

経費にできるものとして、たとえばクリエイター活動に使うペンタブレットなどの機材代、Adobe Creative Cloudなどの利用料金、資料代(漫画、技術書)などが該当します。

また、自宅で作業している場合は家賃や電気代、インターネット代金の一部を経費にできます。
この場合「家事按分」といって、費用のうちクリエイター活動に使用した分のみに分ける必要があります。

自宅の作業スペースの面積比や、クリエイター活動の電気使用時間など、合理的で客観的な基準で按分しなければなりません。

経費にしたものは、後ほど税務調査が入ったタイミングで調査官に説明できるよう、レシートや領収書、請求書などを保管した上、家事按分の計算根拠などを残しておきましょう。

青色申告特別控除で最大65万円の控除が可能

こちらも個人事業主のメリットとなりますが、青色申告承認申請書を期限までに提出し青色申告をすることで、最大65万円の控除を受けられ、税金額が下がります。

青色申告承認申請書の提出期限は青色申告をしたい年の3月15日までです。
ただし、その年の1月16日以降に新たに事業を開始した場合は、その開始日から2か月以内が提出期限になります。

一度青色申告承認申請書を提出すれば、翌年度以降はあらためて提出する必要はありません。

副業の赤字を本業の給与と相殺できる

高価な機材の購入や、仕事があまりないために個人事業主として赤字になった場合、確定申告で給与所得と相殺して所得税額を下げられます。
源泉徴収された所得税よりも実際の税額が小さい場合は、還付によりお金が戻ってきます。

ただし、わざと個人事業主を赤字にして税額を下げるなど、やりすぎた場合は後の税務調査で否認され、追徴課税というペナルティを受ける可能性があります。

節度を守り、やむを得ず個人事業主で赤字を出してしまった場合のみ給与との相殺をしましょう。

収入が増えても社会保険料が変わらない

会社に勤めながら、個人事業主として副業でクリエイター収入を得る場合、健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料は増えません。
あくまで、勤めている会社の給与ベースで社会保険料が発生します。

ただし、個人事業主ではなくどこか別の会社などでクリエイターとして勤める場合、週の所定労働時間が20時間以上ある、または月額報酬88,000円以上など一定の条件を満たすと別途社会保険の加入が必要となり、社会保険料が上がってしまうため注意しましょう。

知っておくべき注意点とデメリット

会社員と個人事業主を掛け持ちする場合に知っておくべき注意点や、デメリットについて解説します。

退職時に「失業保険(基本手当)」がもらえないリスク

失業保険は仕事に就けていない状態の場合に支給されます。

そのため、個人事業主として働いている場合は失業保険がもらえません。

確定申告と帳簿づけの手間が発生する

個人事業主として働いている場合、基本的に毎年の確定申告が必要になります。
また、青色申告をする際は複式簿記により売上や経費などについて記帳する必要があります。

複式簿記は会計の知識がないと自力で記帳するのが難しいです。
会計ソフトの中には金額や科目を入力すれば複式簿記での記帳をしてくれるものや、口座やクレジットカードと連携して自動で記帳をしてくれるものがあります。
そのため、青色申告をする場合は会計ソフトの導入をおすすめします。

他にも、自分で記帳する自信がない場合や、クリエイター業に忙しく記帳している時間が取れない場合は税理士に依頼する方法があります。

個人事業主は会社にバレる?

副業禁止の会社に勤めており、個人事業主としての活動を伏せて働いているケースもあるでしょう。

その場合、会社にバレる可能性があるかについて解説します。

「住民税」の金額変化によって会社にバレる

個人事業主の稼ぎによって所得が増えると、住民税の金額も増えます。
住民税が会社の給与から天引きになっている場合、会社給与に対して住民税の金額が大きいと、会社の給与計算担当者が気づき個人事業主として働いていることが会社に発覚するケースがあります。

個人事業主の稼ぎによる住民税を自分で納める方法に変更できる自治体もあるため、住民税からバレるリスクが気になる場合は自分で住民税を納める方法に変更することを検討してもいいでしょう。

変更方法は、所得税の確定申告をする際に住民税の納付方法を選択する欄があるため、「自分で納付」を選択してください。

ただし、自治体によっては個人事業主の稼ぎを会社の給与と合算して特別徴収の対象とし、普通徴収にできない自治体もあるため、自身の住んでいる自治体で変更ができるかを確認しましょう。

なお、個人事業主として開業届を税務署に提出しても、会社に連絡がいくことはありません。
開業届の提出で個人事業主が会社にバレる可能性はないです。

会社の人に話してしまう、SNSで発信する

実は、住民税の金額変化よりも、自分の行動によって副業が発覚するケースの方が多いです。

たとえば、お酒の席で同僚にうっかり話して上司に伝わってしまったり、SNSに売上などの成果を投稿してアカウントが特定されたりするケースなどが度々あります。
会社に知られたくないのであれば、日頃の会話やネットへの投稿には細心の注意を払いましょう。

まとめ

会社に所属しながら個人事業主になることは可能であり、独立の準備についてリスクを抑えて実施でき、クリエイター活動でかかった支出を経費にできるなどのメリットがあります。

ただし、勤めている会社が副業を禁止していないかを確認し、トラブルやリスクを未然に防ぐようにしましょう。

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