
クリエイターとして稼ぎが大きくなってくると、それだけ税金も増えて、その高さに驚いた経験もあるのではないでしょうか。
税金の対策をしたいけれど、何から手を付ければいいかわからないという方に向けて、税金対策について解説します。
個人事業主ができる税金対策の基本
税金対策をする上で、まず所得税の計算方法を理解しましょう。
所得税は下記の式で算定します。
「(売上-経費-所得控除)×税率-税額控除」
経費計上できるものを漏らさず計上し、活用できる控除を適切に使うことで税金額は下がります。
ただし、経費計上できるのはクリエイターの仕事で発生した支出のみのため注意しましょう。
クリエイターの場合、資料として使う写真集や漫画、機材のカメラなどは仕事用なのかプライベート用なのかがあいまいになりやすいです。
仕事で使うものであることを示すために、購入目的や作品にどのように反映・使用しているかをメモしておくことで、後に税務調査が入った場合でも経費だと主張できます。
経費を正しく計上して所得を抑える
経費を正しく漏れなく計上すると、税金が下がります。
ここでは、経費の考え方について解説していきます。
クリエイターが経費にできるもの・できないもの
経費にできるものは、自身が収入を得るために事業で使用したものだけです。
クリエイターの場合、作品制作に関する費用、参考にした書籍、打ち合わせのための飲食代などが経費計上できます。
経費にできるものについては下記の記事も参考にしてください。
【イラストレーターの経費一覧】どこまでOK?経費にできるものを科目別に徹底解説
家事按分の活用
仕事とプライベートの両方で発生した支出は、仕事の分だけを分けて経費計上する必要があります。
これを「家事按分」といいます。
たとえば、自宅で作業している場合、家賃や電気代、Wi-Fi代などのうち、仕事で使用した部分を経費計上できます。
この場合、家賃であれば作業スペースの面積、電気代であれば作業の使用時間や電気量など、客観的で合理的な基準で家事按分をする必要があります。
意外と忘れがちな経費
意外と計上を忘れがちなのが、クリエイター活動で使用するサブスクリプションサービス、取材のためのカフェ代、ポートフォリオサイトのドメイン・サーバー代、SNS広告費、クリエイター活動に関する振込手数料などです。
こうした経費の計上を忘れてしまうと、それだけ税額が上がってしまうため、忘れずに経費計上しましょう。
税制優遇(控除)を最大限に活用する
所得控除を活用することで、税額を下げられます。
どういった控除が使えるのかを知り、適切に活用していきましょう。
青色申告特別控除
所得税の確定申告方法には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。
事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出し、複式簿記により記帳することで青色申告ができ、最大65万円の所得控除が受けられます。
65万円の所得控除が税額に与える影響は大きいため、可能であれば活用をおすすめします。
65万円の控除をするためには国税庁のe-Taxを使用して電子申告をする必要があり、紙の申告書で提出した場合は55万円の控除となります。
複式簿記は、会計の知識がないと最初はハードルが高く感じがちです。
その場合、会計ソフトを使用すれば複式簿記のパターンを示してくれるほか、クレジットカードや銀行口座と連携して自動で複式簿記による記帳が加納です。
小規模企業共済
小規模企業共済は国の機関が運営するもので、小規模事業者のために積み立てを行う退職金制度です。
小規模企業共済の掛け金は全額を所得控除にできます。
掛け金は最大で月70,000円のため、年間で最大840,000円(70,000円×12か月)の所得控除が受けられます。
小規模企業共済の掛け金は自身の将来の退職金にもなるため、お得な制度だと言えるでしょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは掛け金を自身で運用し、将来の自分の年金とする制度です。
年間掛け金は全額所得控除でき、小規模企業共済とも併用できます。
注意点として、原則60歳まで途中解約できないため、自身の手元資金を考えながら掛け金を設定しましょう。
受取額に対しても所得税がかかるものの、年金として受給する場合は公的年金等控除、一時金として受給する場合は退職所得扱いとなり控除が受けられるため、その分だけ受取時の所得税額が下がります。
ふるさと納税
ふるさと納税を活用することで、所得税や住民税の控除が受けられます。
ふるさと納税は、自身の所得に応じた限度額内であれば、自己負担額2,000円を除いた全額が控除される制度です。手元から出ていくお金の総額が減るわけではありませんが、ふるさと納税により返礼品をもらえるため、その分だけお得といえます。
ふるさと納税の控除を受ける場合は、寄付した自治体から「寄附金受領証明書」をもらい保管しておく必要があります。寄附金受領証明書は、紙のほか、電子データでももらえます。
クリエイターが知っておきたい税金対策
税金対策のために知っておきたい、税務上の制度について解説します。
少額減価償却資産の特例
PCなど、単価10万円以上の物品を購入した場合、購入した年に全額経費とすることはできず数年かけて減価償却を行い、少しずつ経費にしていきます。
ただし、青色申告をしている場合は「少額減価償却資産の特例」という制度を活用し、単価30万円未満の資産であれば購入した年に全額経費にできます。
専従者給与の活用
生計を一にする家族に事務やクリエイター活動の仕事を依頼し、給与を支払っている場合、給与を経費にできます。
白色申告の場合は配偶者86万円まで、その他の親族は50万円までという制限があります。
一方で、青色申告の場合に活用できる「青色事業専従者給与」は、労務の対価として相当であると認められる金額の範囲内であれば制限なく経費にできるため、この点でも青色申告の方が有利です。
青色事業専従者給与を活用する場合、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署へ提出する必要があります。
税金対策を行う際の注意点
税金対策を考える際にはいくつかの注意点があります。
この注意点を把握しておかないと、かえって手元のお金が減ってしまう、脱税となるなどのリスクがあります。
このようなリスクを回避できるように、注意点を解説します。
税金対策により手元のお金が減るリスクの理解
経費を多く計上するとそれだけ税金額は下がりますが、経費としてそれだけ支払いが増えてしまいます。
所得税は収入から経費と控除を引いた額に、5%~45%の税率を乗じて算出します。
そのため、たとえば税率20%の場合、1万円の経費を計上しても下がる税金は2千円です。
税金を下げたいからと不要な物品の購入をして経費を計上してしまうと、かえって手元に残るお金が減ってしまいます。
あくまで必要な経費を計上するだけにとどめ、税金対策のためだけに無理な支出をするのは控えましょう。
税金対策と脱税の線引き
税金対策と脱税の線引きを理解することは、非常に重要です。
脱税とは、売上の隠ぺいや架空の経費計上など不正な手段で税金を減らそうとする行為です。
たとえば、クリエイター収入を一部売上に含めない、白紙の領収書を使用して経費があったように見せかけるなどの手段は脱税行為となります。
脱税が発覚した場合はペナルティとして追徴課税という追加の税金がかかるほか、悪質な場合は刑事罰として10年以下の懲役や1,000万円以下の罰金となる場合もあります。
一方で、税金対策はこの記事で解説しているような、認められている制度の範囲内で税金を下げるものです。
税金対策と脱税の違いを理解し、くれぐれも脱税とならないように注意しましょう。
税務調査での説明
確定申告をしてから数年後に、「税務調査」が入る可能性があります。
税務調査の際は、調査官へ証拠となる書類を提出し、質問された事項に適切に答える必要があります。
たとえば、経費として計上している漫画やプラモデルなどについて尋ねられた時、その領収書・レシートの提出に加え、「なぜそれが必要だったのか」を説明できるようにしておく必要があります。
説明する際は、自身の作品やポートフォリオ、企画書などと結びつけ、クリエイター活動に必要であったことを客観的に説明できるようにしておきましょう。
まとめ

経費計上できるものは漏らさず経費とし、青色申告特別控除や小規模企業共済などの制度を活用することで、税金額は下がります。
ただし、税金を下げたいがために不要な支出をしてしまったり、認められていない手段を使って脱税と認定されてしまったりすれば本末転倒です。
あくまで制度上認められた範囲で税金対策をし、稼いだ分はしっかりと税金を払うという意識の中で税金対策を考えるくらいのバランスがちょうどよいでしょう。
経費計上の判断や、各種制度の適用で迷ったら税理士に相談することも1つの手段です。
田中貴久公認会計士は、クリエイターの確定申告に関して豊富な実績があります。確定申告に関するお悩みは、お気軽にご相談ください。
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