マイク

声優として出演料、ナレーション料、イベント出演料、配信収入などを受け取る場合、その金額が一定以上になると確定申告が必要です。

本記事では、確定申告が必要となる金額と、確定申告をするメリットややり方などについて解説します。

声優に確定申告は必要?判断基準をチェック

声優に確定申告が必要かどうかは、契約形態と所得金額によります。

声優の多くは個人事業主

声優は、事務所に所属していても、会社員のような雇用契約ではなく、業務委託契約として仕事を受けるケースがあります。

この場合、出演料やナレーション料は給与所得ではなく、事業所得または雑所得として扱われます。そして、業務委託の報酬は原則として自分で収入・経費を集計し、必要に応じて確定申告を行います。

アニメ出演、ゲーム収録、吹き替え、ナレーション、イベント出演、宅録、配信活動などの収入がある場合は、報酬明細や支払調書、入金記録を保管しておきましょう。

申告が必要なライン

専業声優の場合、所得税の計算では、年間所得が基礎控除額を超えるかが目安になります。令和7年分・令和8年分は、合計所得金額132万円以下の人の基礎控除額が95万円とされています。

そのため、売上から経費を差し引いた所得が95万円を超える場合は、所得税の確定申告が必要になる可能性があります。

副業声優として会社員などの給与がある場合は、給与所得・退職所得以外の所得が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。

「収入」と「所得」の違い

確定申告で混同しやすいのが「収入」と「所得」です。

収入は、出演料やナレーション料など、声優活動で受け取った売上の総額です。一方、所得は、収入から仕事に必要な経費を差し引いた金額です。

たとえば、年間の出演料が120万円でも、交通費、機材費、通信費、レッスン費などの経費が30万円あれば、所得は90万円です。確定申告の要否を判断する際は、基本的に収入ではなく所得で考えましょう。支出した費用を経費にするには、仕事との関連性を説明できることが重要です。

知らないと損!声優が「確定申告」をするメリット

声優が確定申告をすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

源泉徴収税額の還付

確定申告をすると、源泉徴収税額の還付を受けられます。

出演料やナレーション料などの報酬は、支払時に所得税および復興特別所得税が源泉徴収されている場合があります。
報酬・料金等の源泉徴収では、支払金額100万円以下は10.21%が差し引かれるのが基本です。
源泉徴収は概算で先に納める税金のため、年間の所得や所得控除を反映して計算した結果、実際の税額が源泉徴収税額より少なくなることがあります。

この場合、確定申告をすることで還付を受けられる可能性があります。報酬明細に源泉徴収税額が記載されている場合は、申告対象として忘れずに確認しましょう。

青色申告特別控除

声優活動を継続的に行う場合、青色申告を選ぶことで節税につながります。

青色申告では、一定の要件を満たすと最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。65万円控除を受けるには、複式簿記による記帳、貸借対照表と損益計算書の作成、期限内申告に加え、e-Taxによる申告または優良な電子帳簿保存の要件を満たさなければなりません。
このように、白色申告よりも準備は必要ですが、会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードの明細を取り込みながら帳簿付けを進められます。

声優の確定申告「青色申告」vs「白色申告」どっちが良い?

確定申告には白色申告と青色申告があります。どちらも所得を申告する点は同じですが、控除額、帳簿付け、節税効果に違いがあります。

白色申告

白色申告とは、青色申告の承認を受けていない人が行う申告方法です。

事前手続きが少なく、税務初心者でも始めやすい点が特徴です。ただし、白色申告でも記帳と帳簿書類の保存は欠かせません。売上、経費、取引先、支払日などを記録し、領収書やレシートを保管しておく必要があります。

白色申告は帳簿付けの負担が比較的軽い一方で、青色申告特別控除のような大きな節税メリットはありません。単発の仕事が中心なら白色申告でも対応できますが、継続的に収入がある場合は青色申告も検討しましょう。

青色申告

青色申告は、一定の帳簿付けを行い、正しく所得を計算して申告する人に認められる方法です。

利用するには、原則として開業届と「所得税の青色申告承認申請書」を税務署へ提出します。青色申告では、複式簿記で帳簿を作成し、期限内に申告することで、最大55万円または65万円の控除を受けられます。

声優の場合、出演料、交通費、レッスン費、機材費、通信費など、収入と支出の種類が細かくなりやすいため、会計ソフトで日ごろから記録しておくと、確定申告時期の負担を減らせるでしょう。

結論:継続して声優活動をするなら青色申告

継続して声優活動をするなら、青色申告を検討するのが実務上有利です。

最大65万円の控除を受けられる可能性があり、経費管理もしやすくなります。特に、自宅で台本を読む、宅録をする、ボイスサンプルを作るなど、自宅作業が多い声優は、家賃や通信費などの家事按分を検討する場面があります。
会計ソフトを使って毎月入力しておけば、収入・経費・按分計算を整理しやすくなるでしょう。

確定申告の準備から提出までの5ステップ

確定申告のための準備から提出、納税・還付までの流れを5つのステップで確認します。

ステップ1:領収書・レシートを整理する

まず、1年間の収入と支出を証明する書類をそろえます。

収入については、報酬明細、支払調書、請求書、銀行口座の入金記録などを確認します。支出については、交通費、レッスン費、スタジオ利用料、機材費、衣装代、通信費、資料代など、仕事との関連性があるものを整理します。

領収書やレシートは、日付、金額、支払先、内容がわかる状態で保管しましょう。月に一度整理しておくと、経費の漏れを防ぎやすくなります。

ステップ2:帳簿付け(会計ソフトへの入力)

次に、収入と経費を帳簿に記録します。声優にとって重要なのが、自宅作業に関する家事按分です。

自宅で台本確認や宅録を行う場合、家賃、電気代、インターネット代などの一部を仕事用として経費にできる可能性があります。たとえば、使用面積や使用時間をもとに20%を事業用とするなど、合理的に説明できる割合で計算します。

クラウド会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードを連携し、取引の登録を効率化できます。確定申告時期にまとめるのではなく、こまめに入力することが大切です。

ステップ3:確定申告書の作成

帳簿付けが完了したら、提出用の書類を作成します。

青色申告の場合は青色申告決算書、白色申告の場合は収支内訳書を作成し、1年間の売上、経費、所得を整理します。そのうえで、確定申告書に所得金額や各種控除を入力しましょう。

社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、寄附金控除などがある場合は、証明書類を確認しながら記載します。会計ソフトを使っていれば、帳簿データをもとに申告書を作成できるため、税務初心者でも流れを把握しやすくなります。

ステップ4:作成した書類を提出

作成した申告書は、e-Tax、郵送、税務署窓口への持参で提出できます。

おすすめはe-Taxです。マイナンバーカードとスマホまたはパソコンがあれば、自宅から申告できます。収録やレッスンで時間が不規則になりやすい声優にとって、オンラインで提出できる点は大きな利点です。

また、65万円の青色申告特別控除を受けるには、55万円控除の要件に加えて、e-Taxによる申告または優良な電子帳簿保存が必要です。郵送や窓口持参では、要件を満たさない限り控除額が55万円になります。

ステップ5:納税、または「還付金」の受け取り

申告書を提出したら、納税または還付金の受け取りを行います。

納税が必要な場合は、振替納税、ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付などから選べます。

一方、源泉徴収された税額が実際の税額より多い場合は、還付を受けられる可能性があります。還付を受ける場合は、確定申告書に本人名義の銀行口座を記載しておきましょう。

e-Taxで還付申告をした場合は、書面提出より処理状況を確認しやすい点もメリットです。

まとめ

本記事では声優として収入を得た場合の確定申告について解説しました。

専業の場合には95万円、副業の場合には20万円を超えると確定申告が必要となります。継続して声優活動を行うなら、会計ソフトを活用し、青色申告を検討することで、経費管理と節税を進めやすくなります。

手続きや書類作成、経費の判断など心配なことがある場合には、クリエイター・個人事業主に強い田中貴久公認会計士事務所にお気軽にご相談ください。

‐免責事項‐

本サイトの内容は一般的な税務情報の提供を目的としたものであり、特定の事案に対する助言を行うものではありません。具体的な税務判断については、必ず税理士等の専門家へご相談ください。