クリエイターとして活動をする事務所をどうするかは悩むポイントだと思います。
「自宅を事務所にすると家賃や光熱費を経費にできるって本当?」「自宅兼事務所のメリットやデメリットを知りたい」など、自宅兼事務所に関する疑問について、この記事でお答えします。

自宅を事務所にすることを考えている方は、ぜひご一読ください。

そもそも自宅兼事務所とは?個人事業主が自宅を仕事場にするには

自宅兼事務所とは、生活の場である自宅の一部を、クリエイター活動の作業場やオフィスとして併用することです。

自宅を事務所にすれば、新しくオフィスを探して家賃を払う必要がありません。
また、自宅をカフェにするような店舗兼住宅とは異なり、自宅の改修をする必要があまりないため、クリエイターにとって始めやすい形態です。

クリエイターが自宅兼事務所にするメリット・デメリット

クリエイターが自宅を事務所として併用する際のメリットとデメリットを解説します。

メリット:固定費の削減と経費計上効果

自宅を事務所として併用すれば、新たにオフィスを借りる必要がないためオフィス家賃を抑えられます。

さらに、業務との関連性を説明できれば、自宅の家賃や光熱費の一部を、所得税の計算上クリエイターの経費にできます。
所得税は収入から経費を引いた「所得」に対してかかってくるため、経費を多く計上するとそれだけ税金が下がります。

デメリット:オンオフの切り替えとプライバシーの問題

自宅を仕事場にした場合、生活空間と仕事の空間が混ざってしまい、プライベートと仕事の切り替えが難しくなる点がデメリットです。

また、自宅を事務所にするとWebページや名刺、請求書に自宅の住所を記載することになります。
自宅の住所が広く公開され不特定多数の目に触れてしまい、営業訪問や迷惑行為を受けるリスクがあります。

自宅の住所を公開したくない場合は、バーチャルオフィスや私書箱サービスなどを活用しましょう。

自宅兼事務所の経費化をする際の「家事按分」の基本ルール

自宅兼事務所の家賃や光熱費を経費化する際は「家事按分」を行い、クリエイター活動に関する部分のみに分ける必要があります。

家事按分の基本ルールについて解説します。

家事按分(かじあんぶん)とは?

家事按分とはプライベートと仕事の両方に関わる支出を、一定の基準で分けて仕事分だけを経費にすることです。

たとえば、家賃であればプライベートで使用している部分とクリエイター活動で使用している部分の面積を測り、面積比で按分することが考えられます。
そのほか、電気代であれば仕事で使用している時間や電気使用量などを測り、プライベートの使用量と分けて、仕事で使用した分の料金を経費に計上します。

いずれにしても、合理的で他者に説明可能な基準で按分する必要があります。

税務調査で認められる客観的な根拠の重要性

「だいたい半分くらい」などのあいまいな基準で家事按分すると、後々税務調査が入った際に否認され、ペナルティとして追徴課税という追加の税金が発生するリスクがあります。

税務調査が入った際にも、なぜその割合にしたのか説明できるような客観的な基準で按分し、按分に使用した記録や計算過程を残しておくようにしましょう。

【項目別】自宅兼事務所で経費にできる費用と按分の割合

自宅兼事務所で経費にできるのはどういった費用なのか、按分に使用する合理的な基準はどういったものかを紹介します。

家賃

自宅兼事務所の家賃のうち、クリエイター活動で使用している部分は経費にできます。

按分には、主に床面積で按分する方法があります。
一部屋丸ごとクリエイター活動で使用していなくとも、作業机や機材・資材置き場のスペース分を家事按分の対象とできます。

計算例:部屋面積40㎡ 作業スペース15㎡ 家賃12万円の場合
経費=12万円×15㎡÷40㎡
  =4.5万円

この例の場合は約4.5万円を経費計上できます。

電気代・水道光熱費

電気代などの水道光熱費も経費計上できます。
クリエイターの場合、PCや液晶タブレット、撮影機材の使用などで電気代がかかりやすいため、できるだけ経費計上するとよいでしょう。

按分の仕方として、仕事をしている時間で按分する方法があります。
たとえば週5日仕事をし、1日8時間作業をしたとします。
すると按分比は約23.8%です。
(8時間×5日)÷(24時間×7日)≒23.8%

通信費(インターネット・スマホ代)

クリエイター活動において調べもの、顧客とメールなどでやり取りしている場合、インターネット料金やスマホ料金の一部を家事按分できます。

この場合は仕事での使用時間割合で按分するようにしましょう。

なお、クリエイター作業で使うアプリ使用料など仕事でしか使用しないものに関する料金は、家事按分せずに全額を経費計上できます。

自宅兼事務所で開業・確定申告する際のQ&A

自宅兼事務所で開業し、所得税の確定申告をする際によくある疑問に答えます。

開業届の住所は自宅で大丈夫?

自宅を事務所とする場合、開業届の住所は自宅で問題ありません。
ただし、プライバシーに懸念がある場合はバーチャルオフィスを利用して、その住所を記載する方法もあります。

この場合、クリエイター活動に関して届く郵便物は事業用のみになるため、プライベートのものと分けやすいというメリットがあります。
また、自宅を事務所とする場合、引っ越しをする際は納税地の変更手続きをする必要がありますが、バーチャルオフィスを使用し開業届の「納税地」にバーチャルオフィスの住所を記載すれば、変更手続きの負担を減らせます。

ただし、所得税の手続きをする税務署は、開業届に記載してある事務所の住所を所轄する税務署です。
そのため、バーチャルオフィスの場所によっては所轄税務署が遠くなる場合があります。

確定申告における自宅兼事務所に関する記帳はどうする?

確定申告において、自宅兼事務所に関する家賃や水道光熱費などの経費は家事按分する必要があります。

記帳に関して、たとえば家賃の発生時点で毎回家事按分を行う方法と、年末に一括で家事按分を行う方法があります。

例として、家賃100,000円のうち経費計上できるのが30,000円分だったとします。
【家賃が発生するたびに家事按分する場合】
地代家賃30,000 / 現預金30,000

【年末に一括で家事按分する場合】
(毎月の仕訳)
地代家賃100,000 / 現預金100,000
→これを毎月行う。
(年末の仕訳)
事業主貸840,000 / 地代家賃840,000
→プライベート分の家賃を相殺
プライベート分(70,000円×12か月=840,000円)

年末に一括して家事按分をする場合、家事按分の記帳を忘れないようにしましょう。
万が一家事按分の記帳を忘れた場合、経費が本来より過大に計上され、税金計算を間違えてしまいます。

会計ソフトによっては、家事按分する科目と按分割合を入力すれば自動で按分計算する機能があるため、そういったソフトを使用するのもよいでしょう。

まとめ

自宅兼事務所にすることで、オフィスの家賃や水道光熱費などの固定費を削減し、自宅の家賃などの一部を家事按分して経費にできます。

プライベートとの区分がしにくいなどのデメリットはあるものの、クリエイター活動を始めたばかりであまり収入が入ってこない場合や、別でオフィスを構える必要を感じない場合は有効な選択肢です。

家事按分できる支出はクリエイター活動でも使用しているものです。
自宅を事務所としている場合の家賃や水道光熱費、通信費などが該当します。

家事按分は合理的で説明可能な基準で按分する必要があります。
家事按分の仕方について不安がある場合は、税理士に相談することをおすすめします。

田中貴久公認会計士は、クリエイターの確定申告に関して豊富な実績があります。確定申告に関するお悩みは、お気軽にご相談ください。

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